はじめに

「書いた遺言書の文章をうっかり間違えてしまった」
「孫が生まれたので内容を見直したい」
「書いてみたものの、やっぱり別の分け方にしたい」

すでに書いた遺言書を変えたいけれど、どうすればいいか分からない——そんな場面でよく聞かれるのが「修正テープで直していい?」「線を引いて書き直していい?」という疑問です。

結論から言うと、遺言書の修正には法律で細かいルールが決められていて、自己流で直すと無効になってしまうことがあります

この記事では、書き直しの2つの方法・一部訂正がおすすめできない理由・気づかないうちに撤回扱いになるケース・見直したいタイミングをわかりやすく解説します。

STEP 1大前提|最新の遺言書が優先される

まず一番大事なことをお伝えします。遺言書は何度でも書き直すことができます。古いものと新しいもので内容が違っていても、心配いりません。

📋 ルールはシンプルです

遺言書が複数あって内容がちがう場合は、一番新しい日付の遺言書が優先されると法律で決まっています。なので「書き直したいから書く」「気持ちが変わったから書き直す」——これ自体はまったく問題ありません。

ただし、書き直すときの「やり方」を間違えると、せっかく書いた遺言書が無効になってしまうことがあります。ここから具体的な方法を見ていきましょう。

STEP 2書き直しの2つの方法

「書き直すって具体的にどうやるの?」という疑問にお答えします。書き直す方法には大きく2つあって、それぞれに良い点・気をつけたい点があります。

✅ ① 新しく作り直す(おすすめ)

「前の遺言書はすべて取り消して、この遺言書を最終のものとします」と冒頭に書いた上で、新しい遺言書をゼロから作り直す方法です。

メリット
・無効になるリスクがない
・内容が明確で、家族が迷わない
・後から見ても分かりやすい
⚠ ② 一部を訂正・加筆する(非推奨)

すでにある遺言書の一部分だけを直す方法です。法律で細かい4つのルールが決められていて、1つでも守れないと直した部分が無効になってしまいます。

デメリット
・ルールが細かくて、間違えやすい
・直した部分だけでなく、遺言書全体が無効と言われることもある
・手間の割に危険性が大きい
⚠ 参考:一部訂正のルール

一部だけ直したい場合は、次の4つをすべて守る必要があります。

①訂正箇所を指示する
②署名する
③変更内容を付記する
④変更箇所に押印する
📌 さらに気をつけたいこと
修正テープ・修正液・塗りつぶしは使えません(元の文字が読めなくなるとダメ)
・訂正には、遺言書に押した印鑑と同じ印鑑を使う
・直したい箇所は、元の文字が見えるように二重線を引く

これらの細かいルールがあるので、実際には新しく作り直す方が安心です。

STEP 3新しく作り直すときのポイント

「じゃあ作り直すときは何に気をつければいいの?」というところを解説します。とくに大切なポイントが2つあります。

📋 ポイント①「前の遺言書はすべて撤回する」と書く

自分で書いた遺言書と公証役場で作った遺言書がそれぞれある状態だと、家族は「どの財産がどの遺言書で決まっているのか」を見比べる必要が出てきて、混乱してしまいます。

冒頭に「前の遺言書はすべて取り消して、この遺言書を最終のものとします」と書いておけば、家族は最新の遺言書だけを見ればよくなり、わかりやすくなります。

⚠ ポイント②「すべて撤回」と書いたら、財産の記載漏れに注意

「すべて取り消す」と書くと、過去の遺言書は完全に無効になります。

そのため新しい遺言書には、すべての財産の分け方を漏れなく書く必要があります。書き忘れた財産は、法律で決まった割合(法定相続分)で分けられてしまうので注意してください。

STEP 4意図せず「撤回扱い」になるケース

「撤回するつもりなんてなかったのに、いつの間にか撤回したことになっていた」——実はこんな思わぬパターンが3つあります。知らないと困ることになるので、しっかり押さえておきましょう。

① 新しい遺言書を書いた
新しい遺言書と前の遺言書で内容がちがう部分は、自動的に新しい遺言書が優先されます。例えば、前の遺言書で「家を長男に」と書いていて、新しい遺言書で「家を次男に」と書いた場合、家は次男のものになります。
② 遺言書を破いた・斜線を引いた
自分で書いた遺言書を破いたり、シュレッダーにかけたりすると、取り消したものとされます。
気をつけたいのは、遺言書の文章全体に大きく斜線を引いた場合も取り消し扱いになると最高裁が判断していることです(赤いボールペンで遺言書全体に斜線を引いた事例についての判決です)。
「ちょっと気に入らないから線でも引いておこう」というつもりが、思いがけない結果を招くこともあります。気になる点があれば、手を加える前に専門家に相談しましょう。
③ 遺言に書いた財産を生前に処分した
遺言書に「自宅は長男に」と書いていても、生きている間にその自宅を売ってしまった場合、その部分は取り消したものとされます。財産の状況が変わったら、遺言書の見直しもあわせて考えましょう。

STEP 5こんなときは見直しのタイミング

「そもそもいつ見直せばいいの?」という疑問にお答えします。遺言書は一度書いて終わりではなく、人生の変化に合わせて見直すのが理想です。こんなタイミングが来たら、ぜひ遺言書を読み返してみてください。

👨‍👩‍👧 家族構成の変化
孫が生まれた・養子をとった・相続人が先に亡くなった・離婚した・再婚したなど
🏠 財産の変化
不動産を売った・株を売った・大きな借金ができた・自宅を建て替えたなど
💭 気持ちの変化
介護してくれた家族に多めに残したい・寄付をしたい・お世話になった方にお礼を加えたいなど

遺言書は、書いた瞬間に「完成」ではありません。人生の中で家族構成や気持ちが変わったとき、それを反映できるのが遺言書の良いところです。

ただし、書き直し方を間違えると、せっかくの遺言書が無効になってしまうこともあります。「直したい」と思ったら、自己流で手を加える前に、専門家にご相談ください。当事務所では、今ある遺言書の内容の確認から新しい遺言書の作成まで、一緒に進めていきます。

当事務所でできること

こんな状況の方からご相談いただいています。

書いた遺言書を修正したいが、どこをどう直せばいいかわからない
家族構成や財産が変わったので、内容を最新に更新したい
過去に書いた遺言書を完全に作り直したい

今ある遺言書の内容確認から新しい遺言書の作成、公証役場での手続きまで当事務所がサポートします。「過去の遺言書をどう扱えばいいかわからない」段階でもお気軽にどうぞ。

🏛 行政書士(当事務所)
遺言書の作成サポート
内容のご相談
公証役場での手続きサポート
⚖ 司法書士(ご紹介)
相続登記(所有権移転)
(2024年4月より義務化)
📊 税理士(ご紹介)
相続税の申告・納税
準確定申告

三重県鈴鹿市の行政書士事務所

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まとめ
作り直し
が基本
一部だけ直すには4つのルールが必要・1つでも間違えると無効に
「前の遺言書はすべて取り消す」と書いて新しく作り直すのが安心
撤回扱い
注意
遺言書全体に大きく斜線を引いたり、財産を売却するだけでも撤回扱いに
「ちょっと直そう」が思いがけない結果になることがある
見直し
タイミング
家族構成・財産・気持ちに変化があったときが見直しのタイミング
人生の変化に合わせて、遺言書も更新するのが理想です
【免責事項】この記事は情報提供を目的としており、法律的なアドバイスではありません。状況によって手続きや結果が異なりますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。

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