はじめに

「前の結婚で生まれた子どもとは今もそれなりに連絡を取っている。
でも、自分が亡くなったときに、今の妻(夫)と前妻(前夫)の子の間で、お金のことで揉めてしまわないか心配」

再婚されている方からよくいただくご相談です。
今は穏やかな関係でも、相続の場面では、お互いに「もっと配慮してほしかった」という気持ちが出やすく、思わぬところで関係がこじれてしまうことがあります。

この記事では、前妻・前夫のお子さんがいる場合の法律上の取り分・遺言書がないと起きやすい場面・今の配偶者と前婚のお子さん、両方に配慮できる対策を、わかりやすく解説します。

STEP 1前婚のお子さんの法律上の取り分を知っておく

まず大切なのは、前婚のお子さんも今のご家族のお子さんと法律上は同じ立場の相続人だということです。ここを正しく理解しておくと、対策の方向性が見えてきます。

⚠ 前婚・後婚に関係なく、子は同じ取り分

前のご結婚で生まれたお子さんも、今のご家族のお子さんも、法律上はまったく同じ相続人としての権利を持っています。
「離婚してから何十年も会っていない」「親権は別れた相手にあった」という場合でも、戸籍に記載されている親子関係は変わりません。

📋 具体例で見てみましょう

たとえば遺産が3,000万円・今の配偶者と前婚のお子さん1人というケース。

⚖ 法律で決まっている分ける割合(法定相続分)
今の配偶者 1/2
前婚のお子さん 1/2
1,500万円
1,500万円

🔒 最低限もらえる取り分(遺留分)
遺言書で配偶者へ
750万円
前婚のお子さんは遺産の1/4(=遺留分)まで請求できる

遺言書で「すべて配偶者に」と書いても、前婚のお子さんから750万円までの請求を受ける可能性があります。

STEP 2遺言書がないと起きやすい場面

「今は関係も悪くないし、話し合いで決められるはず」と思っていても、いざというときに思わぬハードルが出てくることがあります。

🏠 自宅の扱いで意見が分かれることも
遺言書がないと、自宅は今の配偶者と前婚のお子さんの共有になります。
今の配偶者は「住み続けたい」、前婚のお子さんは「お金で分けてほしい」となり、お互いの希望がぶつかってしまうケースもあります。
💬 話し合いに時間がかかる
遺産の分け方を決める話し合いには、相続人全員の合意が必要です。
今のご家族と前婚のお子さんは普段一緒に過ごしているわけではないため、連絡や調整に時間がかかり、銀行口座の凍結なども長引きやすくなります。
📋 すべての財産を開示することになる
この話し合いでは、財産すべてを一覧にして相続人全員に見せる必要があります。
今のご家族の生活状況や貯金額まで知られることに、抵抗を感じる方もいらっしゃいます。

⚠ 遺言書がない場合
・自宅は配偶者と前婚の子の共有
・全員の合意がないと預金も動かせない
・財産すべてを開示する必要がある
・話し合いに時間がかかる
✅ 遺言書がある場合
・自宅の分け方を指定できる
・遺言執行者が手続きを進められる
・家族同士の直接やり取りを減らせる
・配偶者居住権で住まいも守れる

STEP 3両方に配慮できる3つの対策

大切なのは、今の配偶者の生活を守りながら、前婚のお子さんにもきちんと配慮すること。
両方を実現できる対策を3つご紹介します。

📜 公正証書遺言で分け方をはっきりさせる
公正証書遺言があれば、前婚のお子さんの判子や印鑑証明書がなくても、預金の解約や不動産の名義変更を進められます。
さらに、遺言書の内容を実行する役目の「遺言執行者」を専門家に決めておくと、ご家族同士で直接やり取りしなくても手続きが進められます。
🏠 配偶者居住権で今の配偶者の住まいを守る
2020年から始まった「配偶者居住権」という制度を使うと、自宅の所有権を前婚のお子さんに渡しながら、今の配偶者は亡くなるまで自宅に住み続けられます。
所有権と住む権利を分けることで、双方に配慮した分け方ができます(登記は司法書士の業務になります)。

⚠ 知っておきたい3つの注意点
遺言書には「遺贈する」と書く
「相続させる」と書いてしまうと配偶者居住権は発生しないと考えられています
共有名義の自宅には設定できない
ご本人だけの名義になっている必要があります
配偶者が亡くなった時点で消滅する
その後は所有権を持つ前婚のお子さんが自宅を自由に使えるようになります
💰 生命保険で最低限のお金を準備
前婚のお子さんを受取人にした生命保険を準備しておくと、最低限渡したいお金を確実に届けられます。
生命保険のお金は遺産分けに含まれないので、ご本人の死亡後すぐに受け取れます。「ちゃんと配慮された」と感じてもらえる効果もあります。

💌 「付言事項」で気持ちを伝える

遺言書には、財産の分け方だけでなく、ご家族へのメッセージを書き残せる「付言事項」というものがあります。
「これまで離れて暮らしてきたが、ずっと気にかけていた」「今の家族のことも大切に思っている」——そうした素直な気持ちを残しておくと、お子さんも納得しやすくなります。

前婚のお子さんがいるご家庭の相続は、複雑になりやすい一方で、事前にきちんと準備すれば、お互いの関係を守りながら円満に進められるものです。

「今の配偶者の生活を守りたい」「前婚のお子さんにも配慮したい」——その両方を実現するには、遺言書を中心とした計画的な備えが欠かせません。

どこから始めればいいかわからない段階でも、ぜひ一度ご相談ください。

当事務所のサポート内容

こんな状況の方からご相談いただいています。

前の結婚で生まれた子どもがいて、相続のときに揉めないか不安
今の配偶者の住まいを守りつつ、前妻(前夫)の子にも配慮したい
遺言書を書きたいが、どんな内容にすればいいかわからない
家族同士で直接やり取りせずに済む方法はないか

遺言書の内容のご相談から作成、公証役場での手続きまでトータルでサポートします。
ご家族全員で円満に進められるよう、丁寧にお話を伺います。

🏛 行政書士(当事務所)
遺言書の作成サポート
内容のご相談
公証役場での手続きサポート
⚖ 司法書士(ご紹介)
配偶者居住権の登記
相続登記(2024年4月より義務化)
📊 税理士(ご紹介)
相続税の申告・納税
準確定申告

三重県鈴鹿市の行政書士事務所

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まとめ
大事な
ポイント
前婚のお子さんも、今のご家族のお子さんと同じ立場の相続人になる
遺産3,000万円・前婚の子1人の場合、遺留分は750万円が目安
配偶者
居住権
2020年からの制度で、住む権利と所有権を分けられる
今の配偶者の住まいを守りながら、お子さんに所有権を渡せる
両方に
配慮
公正証書遺言+生命保険+付言事項で、両方に配慮した備えを
関係を保ちながら、ご本人の気持ちもきちんと残せます
【免責事項】この記事は情報提供を目的としており、法律的なアドバイスではありません。状況によって手続きや結果が異なりますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。

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