はじめに
「うちは相続税がかかるのかな?」——ご家族を亡くされたあと、最初に気になることのひとつだと思います。
相続税はすべての人にかかるわけではありません。
ただ、「うちは大丈夫」と思っていたら課税対象だった、
「特例でゼロだから申告不要」と思っていたら申告が必要だった
——そんなケースもあります。
この記事では、相続税がかかるかどうかを3つのステップで簡単に確認できる方法を、三重県鈴鹿市の行政書士がわかりやすくお伝えします。
— こんなご相談がありました —
先日、Dさん(仮名・60代)が事務所にいらっしゃいました。お父様が亡くなり、相続人はDさんとお母様、妹さんの3人。
「うちは大した財産ないから、相続税は関係ないと思って…」とDさん。ところが詳しく伺うと、ご自宅とご預金以外に、お父様が生前に契約していた死亡保険金や、勤務先からの死亡退職金もあったのです。
合算してみると、基礎控除を超える可能性が——。「えっ、そんなものまで含まれるんですか?」と驚かれていました。
STEP1:基礎控除を計算する
まずは、相続税がかかるかどうかの「ボーダーライン」を見てみましょう。これを「基礎控除」と呼んでいて、財産の合計がこのライン以下なら、基本的に相続税はかかりません。
基礎控除の計算式
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
この金額より財産が少なければ、原則として相続税はかかりません
📊 法定相続人の数別 基礎控除の早見表
💡 ワンポイント
「法定相続人」とは、民法で定められた相続人のことです。たとえば配偶者+お子さん2人なら3人、配偶者のみなら1人、というように数えます。相続放棄をした方も、基礎控除の計算では人数に含めます。
STEP2:課税対象の財産を集める
次は、相続税の対象になる財産を全部書き出してみましょう。意外と忘れがちな「みなし相続財産」もあるので、3つのグループに分けて整理するとわかりやすいです。
まずは、誰でも思い浮かぶ「財産」から書き出しましょう。
☑不動産(土地・建物・マンション)
☑預貯金・現金
☑有価証券(株式・投資信託など)
☑自動車・貴金属・骨董品・美術品
☑会社の株式(同族会社の非上場株式も含む)
ここが、相続税で一番見落としやすいポイントです。「相続財産じゃないのに、税金の計算では相続財産として扱われる」——そんな少し変わった財産があるんです。
☑ 死亡保険金(生命保険)
受取人固有の財産ですが、税金の計算では相続財産として扱われます。
非課税枠:500万円 × 法定相続人の数
☑ 死亡退職金
勤務先から支払われる退職金。
非課税枠:500万円 × 法定相続人の数(生命保険とは別枠)
☑ iDeCo・企業型DC(確定拠出年金)の死亡一時金
死亡退職金として扱われ、退職金の非課税枠と合算されます。
逆に、①と②の合計から「差し引けるもの」もあります。借金や葬儀費用など、亡くなった方の負担になっていたものは、財産から引いて計算できます。
-借入金・住宅ローンなどの債務
-未払いの税金・医療費
-葬式費用(社会通念上相当な金額)
STEP3:基礎控除と比較する
いよいよ最後のステップです。STEP2で計算した財産の合計が、STEP1で出した基礎控除を超えているかどうかをチェックします。シンプルな引き算で、相続税の対象になるかどうかがわかります。
📊 こうして判定します
①本来の相続財産 + ②みなし相続財産 - ③差し引けるもの
↓
合計額 vs 基礎控除額
基礎控除 ≧ 合計額
→ 原則として相続税はかからない
申告も基本的に不要です
基礎控除 < 合計額
→ 相続税の対象
まずは全体を整理して、税理士へつなぎましょう
税額ゼロでも申告が必要なケース
「計算したら相続税はゼロになったから、申告は不要だね」——そう思いがちですが、実はそうとは限らないんです。使う特例によっては、税額がゼロでも申告書を出さないと特例が認められないものがあります。
⚠ 「特例でゼロだから申告しなくていい」は誤解です
次の特例を使う場合は、税額がゼロになっても申告書の提出が必要です。「申告したからこそ特例が認められる」という仕組みになっています。
奥さま(またはご主人)が相続する場合に使える特例です。1億6,000万円または法定相続分のどちらか多い金額までは相続税がかかりません。多くのご家庭で「配偶者には税金がかからない」と言われるのは、この制度のおかげなんです。
ご自宅などの土地に使える特例です。土地の評価を最大80%下げられるので、相続税がぐっと減ることも。たとえば1億円の土地が2,000万円として評価される、というイメージですね。要件が細かいので、税理士さんと一緒に進めるのが安心です。
— 髙橋からのメッセージ —
「税金のこと、いま考えたくないですよね」
大切なご家族を亡くされたばかりのときに、相続税の話を聞いても、なかなか頭に入ってこないものです。
「縁起でもない」
「もう少し落ち着いてから」
——そう感じるのは、ごく自然なことだと、私は思っています。
事務所にお越しになる方も、最初は皆さん同じようなお気持ちです。
ただ、相続税の申告期限は10ヶ月。葬儀があって、四十九日があって、初盆があって——気がつくと、あっという間に時間は過ぎてしまうんです。
だから、ぜんぶお一人で抱え込まないでくださいね。
手続きのことは私たち専門家にお任せいただいて、ご家族との思い出を振り返ったり、心と体を休めたり——そんな時間にあててほしいなと、私は思っています。
「うちは、どうしたらいいんだろう」
——そんな段階で大丈夫です。まずはお話を聞かせてください。
よくあるご質問
Qうちは賃貸住まいで貯金もそんなにないので、相続税は関係ないですよね?▼
A
「不動産がない=相続税がかからない」とは限りません。生命保険金や死亡退職金(みなし相続財産)を見落としていて、合算すると基礎控除を超えるケースもあります。一度、財産の全体像を整理してみることをおすすめします。
Q生命保険金は受取人固有の財産だと聞きました。それでも相続税の対象になるんですか?▼
A
はい、その通りです。生命保険金は遺産分割の対象にはなりません(受取人固有の財産)が、相続税の計算では「みなし相続財産」として課税対象になります。ただし、500万円×法定相続人の数の非課税枠があります。
Q不動産の評価額は、固定資産税の通知書の金額でいいんですか?▼
A
固定資産税評価額は建物の評価には使いますが、土地は別の計算方法(路線価方式や倍率方式)を使います。土地の評価は専門知識が必要なので、概算判定で目安をつけたあと、税理士に正確な評価を依頼するのが一般的です。
Q父からもらった生前贈与は、相続税の計算に関係ありますか?▼
A
相続が発生する前7年以内に贈与を受けていた場合、その分は相続財産に加算されます(生前贈与加算)。「もう贈与済みだから関係ない」とはならない点に注意が必要です。
Q「申告期限は10ヶ月以内」と聞きました。間に合わないとどうなりますか?▼
A
期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税といったペナルティが発生する場合があります。さらに、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった節税効果のある特例が使えなくなることもあります。10ヶ月は意外と短いので、早めに動き始めるのが安心です。
Q行政書士さんでも相続税の相談に乗ってもらえますか?▼
A
相続税の申告書作成や税額計算は税理士の独占業務のため、行政書士は対応できません。ただし、「財産目録の整理」「戸籍収集」「遺産分割協議書の作成」など、相続手続き全般のサポートはお引き受けできます。相続税の申告が必要そうな場合は、早めに信頼できる税理士をご紹介します。
当事務所のサポート
「相続のこと、何から始めたらいいかわからない」——そんなお気持ちのときは、ぜひ当事務所にお話しに来てください。三重県内・近隣県にお住まいの方を中心に、相続のご相談をお引き受けしています。
いきなり税理士さんに相談すると、「財産の全体像がまだはっきりしない」「戸籍が揃っていない」といった状態で話が止まることも。まずは行政書士で全体を整理してから、必要に応じて税理士へ——その流れがスムーズです。
— たとえばDさんのようなケースでは —
冒頭でご紹介したDさんのようなご家庭では、こんな流れで進めていきます。
①まずはお話を伺って、ご状況を整理します
②戸籍収集・財産目録の作成を当事務所で進めます
③相続税の申告が必要そうなら、信頼できる税理士をご紹介します
④整理済みの情報を税理士に引き継ぎ、スムーズに申告へ
⑤必要に応じて遺産分割協議書も当事務所で作成します
最初から最後まで、窓口は当事務所にひとつ。あちこちに相談に行く必要はありません。
📋 当事務所がサポートできること
・財産の整理・財産目録の作成
・戸籍収集・相続人の調査
・遺産分割協議書の作成
・信頼できる税理士へのご紹介とスムーズな引き継ぎ
財産目録など、当事務所で事前に整理した情報をそのまま税理士に引き継げるので、税理士費用や時間の節約にもつながります。窓口は当事務所にひとつ。あちこちに相談に行く必要はありません。
🏛 行政書士(当事務所)
財産目録の整理
戸籍収集・相続人調査
遺産分割協議書の作成
📊 税理士(ご紹介)
相続税の申告
税額計算・特例適用
⚖ 司法書士(ご紹介)
不動産の相続登記
(2024年4月より義務化)
まとめ
STEP1
3,000万円+600万円×法定相続人数 = 基礎控除
早見表:1人3,600万円/2人4,200万円/3人4,800万円…
STEP2
本来の財産+みなし相続財産-債務控除を計算
生命保険・退職金・iDeCoの「みなし相続財産」を忘れずに
STEP3
合計額 vs 基礎控除で判定
超えていたら相続税の対象。まずは行政書士で全体を整理→税理士へ
要注意
「税額ゼロだから申告不要」は誤解
配偶者控除・小規模宅地特例は申告書提出が要件
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的・税務的助言を提供するものではありません。相続税の申告は税理士の独占業務です。個別の判断は必ず税理士にご相談ください。