はじめに

「相続税対策のために、生きているうちに財産を渡しておいた方がいいのか」「でも贈与税は税率が高いと聞く」——そんな疑問を持つ方は多いです。

相続税と贈与税は、どちらも「財産が動いたとき」にかかる税金ですが、税金がかかるタイミングや仕組み、税金を軽くする制度(特例)の種類が異なります。それぞれの違いを知ることが、対策を考える出発点です。

この記事では、相続税と贈与税の違い・それぞれの主な特例・メリットとデメリットを、できるだけわかりやすく整理します。具体的な対策の判断は税理士の業務です。

💡 この記事の結論

相続対策に「これだけやれば完璧」というものはありません。

生前贈与で少しずつ財産を減らしておく
相続税の非課税枠や特例を最大限に活かす
遺言書で財産の分け方を決めておく

この3つを組み合わせるのが基本です。家族の状況・財産の内容に応じて、どこに重点を置くかを考えていきます。

STEP 1相続税と贈与税の基本的な違い

まずは「どんな違いがあるのか」を整理しておきます。どちらも「財産が動くときにかかる税金」という点は同じですが、いつ・どう計算されるかが違います。

項目
相続税
贈与税
タイミング
亡くなったとき(相続時)
生きているうちに財産を渡したとき(贈与時)
基礎控除
3,000万円+600万円×法定相続人数
受贈者1人あたり年110万円
(暦年課税の場合)
税率
10〜55%(金額が大きいほど税率が高くなる)
10〜55%(金額が大きいほど税率が高くなる・税率が上がるスピードが相続税より速い)
納税義務者
財産をもらった相続人
財産をもらった受贈者
📋 同じ財産でも、亡くなってから渡せば「相続税」、生きているうちに渡せば「贈与税」というのが基本のルールです。

STEP 2相続税の特徴と主な特例

相続税は、亡くなった方の財産を引き継いだときにかかる税金です。「基礎控除」という非課税枠が大きく、税金を軽くする制度(特例)もいくつかあるため、実際に相続税がかかる世帯は全体の1割弱と言われています。

相続税の主な特例(タップで詳細表示)
① 配偶者の税額軽減(1億6,000万円まで非課税)
配偶者が引き継いだ財産のうち、1億6,000万円まで(または法定相続分まで)は相続税がかかりません。残された配偶者の生活を守るために設けられた、税負担を大きく軽くできる制度です。
② 小規模宅地等の特例(土地の評価を最大80%減)
亡くなった方の自宅の土地などについて、条件を満たすと土地の評価額を最大80%減らせる制度。例えば1億円の土地なら2,000万円の評価で済むため、相続税が大きく変わります。
③ 生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人数)
亡くなった方が掛けていた生命保険の死亡保険金には、「500万円×法定相続人の人数」までは相続税がかかりません。例えば法定相続人が3人なら、1,500万円までは非課税です。
④ 未成年者控除
未成年の相続人がいる場合、18歳になるまでの年数×10万円が相続税から差し引かれます。例えば10歳なら80万円が控除されます。
⑤ 障害者控除
障害のある相続人がいる場合、85歳になるまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)が相続税から差し引かれます。
相続税のメリット・デメリット
✓ メリット
・基礎控除が比較的大きい
・配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、税負担を抑える特例が多い
・不動産は時価ではなく路線価などで評価されるため、実際の市場価格より低い評価になりやすい
・贈与税と比べて、同じ金額あたりの税率の上がり方がゆるやか
✕ デメリット
・遺言を残さないと、誰にいくら渡すかを自分で決められない
・亡くなった時点の財産の価値で計算される
・申告期限が亡くなってから10か月以内と短い

STEP 3贈与税の特徴と2つの課税方式

贈与税は、生きているうちに財産をもらったときにかかる税金です。贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」という2つの計算方法があり、どちらを使うか選ぶことができます。

暦年課税
年110万円までは贈与税がかからない方式
1年間(1月1日〜12月31日)にもらった財産の合計から110万円を引いた額に贈与税がかかります。特に手続きをしなければ、この方式が自動的に適用されます。
相続時
精算課税
累計2,500万円までは贈与税がかからない方式
贈与時には税金がかからず、贈与した人が亡くなったときに、贈与した分も含めて相続税で計算する仕組み。原則60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与が対象で、税務署への届出が必要です。

STEP 4贈与税の主な特例と注意点

贈与税には、目的別の非課税制度がいくつかあります。また、暦年課税・相続時精算課税それぞれに重要な注意点があるため、合わせて確認しておきましょう。

贈与税の主な特例
① 配偶者控除(おしどり贈与・最大2,000万円)
結婚して20年以上経つ夫婦の間で、住むための不動産(または購入資金)を贈与する場合、110万円の基礎控除に加えて最大2,000万円まで贈与税がかかりません。同じ配偶者からは一生に一度だけ使える制度です。
② 教育資金一括贈与(最大1,500万円)
祖父母などから子や孫へ教育のためのお金をまとめて贈与する場合、1人あたり最大1,500万円まで贈与税がかかりません(塾や習い事などは500万円まで)。2027年3月31日までの制度です。
③ 住宅取得資金贈与(500万円〜1,000万円)
父母や祖父母から、住宅の新築・取得・増改築のためのお金を贈与してもらう場合、省エネ等住宅は1,000万円まで、それ以外の住宅は500万円まで贈与税がかかりません。2026年12月31日までの制度で、適用には細かい要件があります。
贈与税のメリット・デメリット
✓ メリット
・誰に・いつ・いくら渡すかを自分で決められる
・年110万円までは贈与税がかからず、申告も不要(暦年課税)
・教育資金・住宅資金・配偶者へなど、目的に応じた非課税制度がある
✕ デメリット
・非課税枠が小さい(年110万円)
・110万円を超えると税率の上がり方が早い
・亡くなる前7年以内の贈与は相続財産に加算されてしまう(2024年改正・暦年課税の場合)
⚠ 2024年改正:暦年課税の生前贈与加算が3年→7年に延長
2024年1月1日以降に行った暦年課税の贈与から、亡くなる前何年分の贈与を相続財産に加算するかが、3年から7年へ段階的に延長されます。完全に7年分加算されるのは2031年以降に亡くなった場合からです。なお、延長された4〜7年前の贈与については、合計100万円までは加算されない緩和措置があります。
⚠ 相続時精算課税を選ぶと「小規模宅地等の特例」が使えない
相続時精算課税を使って土地(特に自宅の敷地)を贈与すると、相続時に評価額を最大80%減らせる「小規模宅地等の特例」が使えなくなります。また、一度この制度を選ぶと、その人からの贈与は二度と暦年課税に戻せません。不動産の贈与は特に慎重な判断が必要です。

よくあるご質問
Q相続税と贈与税、どちらが税負担は軽いですか?

A

同じ財産額で単純比較すると、相続税の方が税率は低くなることが多いです。ただし、贈与税には目的別の非課税制度(教育資金・住宅資金・配偶者控除など)があり、これらを活用すれば贈与の方が有利になる場合もあります。個別の判断は税理士の業務です。
Q7年加算ルールは、いつから完全に適用されますか?

A

2024年1月1日以後の贈与から段階的に延長されます。2026年12月以前の相続開始であれば加算期間は3年(改正前)のまま、2027年1月以降の相続から段階的に延長され、2031年以降の相続から完全に7年加算が適用されます。
Q相続時精算課税を選ぶと、本当に得になるのですか?

A

「得」になるかは個別の状況によります。贈与時の価額で固定できるため、将来値上がりする財産では有利になる場合があります。一方、小規模宅地等の特例が使えなくなる点・一度選ぶと暦年課税に戻れない点など、注意すべき点もあります。判断は税理士にご相談ください。
Q三重県・鈴鹿市で相談できますか?

A

当事務所(行政書士髙橋大輔事務所・三重県鈴鹿市)にて承っています。相続手続き全体の整理や遺産分割協議書の作成は当事務所が担当し、相続税・贈与税の判断や対策は提携税理士をご紹介します。対面・電話・LINE・オンライン対応可。初回相談は無料です。

大きな木が枝を広げて、毎年少しずつ実を落とすように

——財産を次の世代に渡す方法も、ひとつではありません。

生きているうちに少しずつ渡していくのか、

亡くなったときにまとめて引き継ぐのか、

どちらにも仕組みがあります。

ただ、完璧な相続対策というものはありません。

生前贈与で財産を少しずつ減らしておく方法と、相続税の非課税枠や特例を活かす方法

——このどちらか一方を選ぶのではなく、両方をうまく組み合わせていくのが基本です。

さらに、誰がどの財産を引き継ぐかによっても、最終的な税額は変わります。

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は「誰が相続するか」で適用が決まるので、

遺言書で財産の分け方を決めておくことも大切な対策のひとつです。

まずは、自分の家族にとってどんな選択肢があるのかを知ることから始めてみませんか。

具体的な対策は税理士の業務になりますが、その前段階

——「何を考えるべきか」「誰に相談すべきか」の整理から、私がお手伝いできます。

行政書士髙橋 大輔

当事務所のサポート内容

相続対策をこれから考えたい方はご相談ください。

遺言書の作成を検討している
相続手続き全体のスケジュールを整理したい
信頼できる税理士をどこで探せばいいか分からない

遺言書の作成サポート・相続手続き全体の整理は行政書士が担当します。相続税・贈与税の対策は提携税理士をご紹介します。

🏛 行政書士(当事務所)
遺言書作成サポート
財産目録の整理
相続手続き全体の進行管理
📊 税理士(ご紹介)
相続税・贈与税の対策
申告書の作成
個別具体的な税務判断
⚖ 司法書士(ご紹介)
不動産の相続登記
家族信託の設計

三重県鈴鹿市の行政書士事務所

相続手続き・遺言書のご相談を承っています

初回相談無料(対面・電話・LINE・オンライン)・出張対応可

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お電話・メール・LINEにて受付中

まとめ
違い
相続税は亡くなったとき・贈与税は生きているうちに渡したとき
タイミングが違うだけで、どちらも財産が動くときにかかる税金
相続税
基礎控除が大きく、配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例など強力な特例がある
ただし誰にいくら渡すかは自分で完全には決められない(遺言がない場合)
贈与税
渡し方を自分で決められる。教育資金・住宅資金・配偶者控除などの非課税制度あり
2024年改正で暦年課税の生前贈与加算が3年→7年に段階的に延長
判断
個別の判断は税理士へ
家族構成・財産内容・将来予測など多くの要素で結論が変わる
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言・税務助言を提供するものではありません。相続税・贈与税の個別具体的な判断および申告は税理士の業務です。具体的なご相談は税理士にお問い合わせください。記載内容は2026年6月時点の情報に基づきます。

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