はじめに

「籍は入れていないけれど、長年一緒に暮らしているパートナーに財産を残したい」
「離婚歴があって再婚はしていないが、今のパートナーと穏やかに暮らしている」

こうしたご相談をいただくことがあります。
お二人の関係がどんなに深くても、婚姻届を出していない場合、法律上はパートナーに相続する権利がありません。
つまり、何も準備をしないまま万が一のことがあると、パートナーに財産が1円も渡らない可能性があります。

この記事では、籍を入れていないパートナーの生活を守るための遺言書・生命保険を中心とした対策と、知っておきたい注意点をわかりやすく解説します。

STEP 1何も準備しないとどうなる?

まず、対策をしなかった場合にどんなことが起きるかを知っておきましょう。
「まさかそんなことに…」と思うかもしれませんが、実際にご相談をいただくケースです。

🏠 住まいを失ってしまうことがある
自宅がパートナーの名義である場合、亡くなった後の所有権は法律上の相続人(パートナーの兄弟姉妹や甥姪など)に移ります。
相続人から退去を求められた場合、内縁のパートナーには対抗する手段がほとんどありません。
🏦 預金が引き出せなくなる
銀行口座は亡くなったことが分かると凍結されます。
相続権のないパートナーは、預金の解約はもちろん、葬儀費用の引き出しもできないのが原則です。
👥 疎遠だった親族が相続人になる
お子さんがいない場合、亡くなった方の兄弟姉妹や甥姪が相続人になります。
普段お付き合いのない親族が財産の引き渡しを求めてくるケースもあります。

STEP 2パートナーを守るための対策

法律上の相続権がなくても、事前に準備しておけばパートナーに財産を残す方法はあります。
柱になるのは「公正証書遺言」と「生命保険」の2つです。

📜 公正証書遺言で「遺贈する」と書く(最も確実)
遺言書に「○○に財産を遺贈する」と書いておけば、パートナーに財産を残せます。
ここで大切なのは、「相続させる」ではなく「遺贈する」と書くこと。「相続させる」は法律上の相続人にしか使えない表現です。
公正証書遺言にしておくと、書き方の不備で無効になるリスクがなく安心です。

💡 知っておきたいこと
・不動産を遺贈する場合、登録免許税が2%かかります(相続人への「相続させる」は0.4%)
・遺言書に「遺言執行者」を指定しておくと、手続きがスムーズに進みます
💰 生命保険の受取人にパートナーを指定する
生命保険のお金は遺産分けに含まれないので、受取人に指定しておけばパートナーに直接届きます。
亡くなった後すぐに受け取れるため、葬儀費用や当面の生活費の確保にも有効です。

⚠ 注意:保険会社によっては、内縁関係のパートナーを受取人にできない場合があります。
同居期間や生計を一にしていることの証明(住民票の続柄欄に「妻(未届)」と記載されていることなど)を求められることがあるので、事前に保険会社に確認してください。

💡 不動産がある場合は「死因贈与契約」も検討できます

「自分が亡くなったら、この不動産をパートナーに贈与する」というお二人の合意に基づく契約です。
不動産に生前の段階で仮登記を入れておけるため、万が一の際にパートナーの権利を守りやすくなります(仮登記は司法書士の業務です)。
多くの場合は公正証書遺言で対応できますが、不動産を確実にパートナーに渡したい場合に検討するとよいでしょう。

STEP 3お子さんやご両親がいる場合の注意点

「全財産をパートナーに渡す」という遺言書を書いた場合でも、亡くなった方にお子さんやご両親がいると、そのご家族から「最低限の取り分」を請求される場合があります。
これを遺留分(いりゅうぶん)と言います。

⚠ 遺留分は「お子さん」と「ご両親」にある権利です

兄弟姉妹には遺留分がないため、亡くなった方の相続人が兄弟姉妹だけであれば、遺言書で「全財産をパートナーに」と書いてもそのまま実現できます。
一方、お子さん(前婚のお子さんも含む)やご両親が健在な場合は、遺留分に配慮した内容にしておく必要があります。

💡 対策のポイント

遺留分を侵害しない範囲で財産の分け方を決めるか、遺留分を請求された場合に支払えるよう、生命保険で現金を準備しておくのが実務的な方法です。
どのくらいの金額を準備すればいいかは、財産の内容やご家族の構成によって変わるため、専門家に相談するのがおすすめです。

STEP 4「特別縁故者」制度はあてにできない?

「遺言書がなくても、長年一緒に暮らしていたら財産をもらえるんじゃないの?」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに「特別縁故者」という制度がありますが、これはかなり限定的な制度です。

⚠ 特別縁故者制度の3つのハードル
相続人が1人でもいると使えない
相続人が誰もいないことが確定して、初めて申し立てができます
申し立てても必ずもらえるとは限らない
家庭裁判所の判断次第で、認められないこともあります
手続きに1年以上かかる
「相続人がいない」ことを確定させるための公告手続きが必要で、その間パートナーの生活は不安定なままです

特別縁故者制度を当てにして何も準備しないのは、パートナーにとってとても不安なことです。
元気なうちに遺言書を書いておくことが、一番確実にパートナーの生活を守る方法です。

籍を入れていないということは、法律上の保護が薄いということです。
でも、だからこそ「準備しておけば守れる」ということでもあります。

公正証書遺言と生命保険——この2つを柱に、不動産がある場合は死因贈与契約も組み合わせることで、大切なパートナーの生活をしっかり守れます。
「何から始めればいいかわからない」という段階でも、まずは一度ご相談ください。

当事務所のサポート内容

こんな状況の方からご相談いただいています。

籍を入れていないパートナーに財産を残したい
離婚歴があり、再婚せずにパートナーと暮らしている
遺言書に「遺贈する」と書くべきと聞いたが、やり方がわからない
パートナーの住まいと生活費を確保しておきたい

遺言書の内容のご相談から作成、公証役場での手続きまでトータルでサポートします。
お二人でのご相談も、おひとりでのご相談も対応しています。

🏛 行政書士(当事務所)
遺言書の作成サポート
内容のご相談
公証役場での手続きサポート
⚖ 司法書士(ご紹介)
不動産の遺贈登記・仮登記
相続登記(2024年4月より義務化)
📊 税理士(ご紹介)
相続税の申告・納税
準確定申告

三重県鈴鹿市の行政書士事務所

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まとめ
大事な
前提
籍を入れていないパートナーには法律上の相続権がない
何も準備しないと、財産が1円も渡らない可能性がある
2つの
公正証書遺言(遺贈)+生命保険が基本の対策
遺言書は「遺贈する」と書くこと・不動産がある場合は死因贈与契約も検討
元気な
うちに
特別縁故者制度はあてにできない。元気なうちの準備が一番確実
準備しておけば、大切なパートナーの生活を守れます
【免責事項】この記事は情報提供を目的としており、法律的なアドバイスではありません。状況によって手続きや結果が異なりますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。

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