はじめに

「介護してくれた長女に多めに残したい。でも他の子から不満が出ないか心配」

——そんな気持ちで遺言書を考えていませんか?

遺言書で財産の分け方を決めるだけでは、「なぜそう分けたのか」が家族には伝わりません。

あとから「不公平だ」と言われたり、兄弟の関係がぎくしゃくしてしまうこともあります。

そんなとき効果を発揮するのが付言事項

法律上の決まりではないけれど、残された家族の納得感を生み、揉めごとを防ぐ大切な役割があります。この記事では、付言事項の意味・どんな場合に必要か・実際の書き方・気をつけたいポイントを解説します。

付言事項とは何か

STEP 1付言事項とは何か

付言事項とは、遺言書の最後に添える「家族へのメッセージ」のことです。法律上の効力はありませんが、なぜそう分けたのか・どんな思いがあるのかを伝えることで、家族の納得感が大きく変わります。

📄 遺言の本文
誰に何を渡すかを決める部分。
法律上の効力あり
例:「自宅を長女に相続させる」
💬 付言事項
理由・感謝・お願いを伝える部分。
法律上の効力はなし
例:「長女に渡す理由と感謝の言葉」
💡 「遺言書の中で一番読まれる部分」と言われています

残された家族は、財産の中身よりも「なぜそう決めたのか」「自分はどう思われていたのか」を知りたいと思うものです。分け方に偏りがあるときほど、付言事項の有無で家族の受け止め方は大きく変わります。

付言事項が特に重要なケース

STEP 2付言事項が特に重要なケース

こんなケースでは、付言事項を書いておくことで家族間のトラブルを未然に防げます。

介護した子に多く残したい
介護してくれた感謝の気持ちと、なぜ多く渡すかを伝える。他の子の理解を得やすくなる
同居している子に家を継がせる
「配偶者の生活を守るため」など、決断の背景を伝えることで他の子も納得しやすい
前妻の子と現在の家族がいる
複雑な家庭環境では特に「なぜそう分けたか」を伝える意味が大きい
事業を継ぐ子に株を集中させる
「会社を守るため」という理由を伝えれば、他の兄弟の協力も得やすくなる
遺留分を侵害する可能性がある
理由を丁寧に説明することで、請求を思いとどまってもらえるケースもある
葬儀・お墓・戒名などの希望
「家族葬で」「戒名は不要」など、自分の希望を伝えておけば、残された家族が迷わずに済む

実際の記載例

STEP 3実際の記載例

参考になる文例を3つ紹介します。そのまま使うのではなく、ご自身の言葉で気持ちを書くのがいちばん伝わります。

📝 例① 介護してくれた子への感謝

長女の○○は、私の体が弱ってからずっと身の回りの世話をしてくれました。

病院への付き添いや日常の介護、本当にありがたく思っています。
自宅を長女に相続させるのは、その感謝の気持ちと、これからも母さんのそばで支えてほしいという願いからです。長男・次女にもこの気持ちをわかってもらえたら嬉しいです。きょうだいで力を合わせて、母さんを支えてほしいと思います。

📝 例② 配偶者にすべて残す場合

財産をすべて妻に相続させることにしました。これは、妻がこれからも安心して生活できるようにするためです。
子どもたちには寂しい思いをさせるかもしれませんが、母さんが先に亡くなったときには、そのときの財産をきょうだいで仲よく分けてほしいと願っています。母さんのこと、これからもどうかよろしくお願いします。

📝 例③ 事業を継ぐ子に株を集中させる場合

会社の経営は次男の○○に引き継ぐことにしました。

次男は若いころから事業を支えてきてくれて、私の後を継いでくれる存在として安心して任せられます。
長男・長女には、株を次男に集中させることをどうか理解してほしいと願っています。きょうだいで会社を支え合っていってください。

📝 例④ 人生への感謝と葬儀の希望

妻と子どもたちに恵まれて、本当に幸せな人生を送ることができました。

家族みんなに心から感謝しています。
葬儀については、家族と親しい人だけの家族葬で、静かに見送ってもらえたら嬉しいです。お墓は無理に建てなくても構いません。これからも家族みんなで助け合って、それぞれの人生を大切にしてください。

気をつけたい書き方

STEP 4気をつけたい書き方

良かれと思って書いた付言事項が、思わぬかたちで家族に受け取られてしまうこともあります。次のような書き方は気をつけたいポイントです。

気持ちのもつれを生む表現
「○○は親不孝だったため」のような書き方は、読んだ家族の心にしこりを残してしまうことがあります。理由を伝えるときは、ポジティブな側面に焦点を当てるのがおすすめです
伝わりにくい抽象的な書き方
「皆で仲良く分けてほしい」だけでは、家族には気持ちが伝わりにくいです。「なぜそう決めたのか」を具体的に書く方が、納得感が生まれます
長すぎる過去の振り返り
昔のことを長く書きすぎると、伝えたいことがぼやけてしまいます。要点を絞って簡潔にまとめる方が気持ちが伝わります
命令のような言い回し
「○○に全財産を渡すように」のような命令調は、法律上の効力はなく、かえって誤解を招くことがあります。お願いの形で気持ちを伝える方が自然です

うまく書こうとしすぎる必要はありません。

文章が上手でなくても、感謝の言葉やこれまでの思い出を、あなたの言葉で素直に書くだけで十分に伝わります。気持ちを残そうとすること自体が、家族にとって何より嬉しいメッセージになります。

当事務所でできること

当事務所でできること

こんな状況の方からご相談いただいています。

介護してくれた子に多めに残したいが、他の子から不満が出ないか心配
付言事項を書きたいが、何をどう書けばいいか分からない
遺言書の内容と付言事項を一緒に整理してほしい

遺言書の内容整理から付言事項の文案づくり・公証役場での手続きまで、当事務所がサポートします。「まだ気持ちが整理できていない」段階でも、お話を聞きながら一緒にまとめていきます。

三重県鈴鹿市の行政書士事務所

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まとめ

まとめ
役割
法的効力はないが、家族の納得感を生んで揉めごとを防ぐ
分け方に偏りがあるほど、付言事項の重要性が高まる
書き方
「なぜそう決めたのか」を理由と感謝の言葉で伝える
介護への感謝・配偶者の生活・事業承継など、具体的な背景を書く
注意点
責める・抽象的・命令調の表現は気持ちが伝わりにくい
書き方に迷ったら専門家に相談を
【免責事項】この記事は情報提供を目的としており、法律的なアドバイスではありません。状況によって手続きや結果が異なりますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。

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