はじめに
「相続税の金額を見て、払えるか不安になっている」——そういったご相談が少なくありません。
特に不動産が多い相続では、現金が不足するケースが起こりやすいです。
そんな場合に使える制度が「延納」(分割払い)と「物納」(財産で納税)です。
ただしどちらも要件があり、申請期限は申告期限と同じ10か月以内です。
この記事では、それぞれの制度の要件・注意点を整理します。
📋 この記事でわかること
・延納(分割払い)の要件・期間・利子税率
・物納(財産で納税)の要件・優先順位・注意点
・申請期限(申告期限と同じ)
・延納・物納より先に検討すべきこと
⚠ 延納・物納の前に検討すべきこと
延納・物納は手続きが複雑で、審査に時間もかかります。まず次の方法を検討してみてください。
相続した不動産の売却
売却代金で一括納付する方が手続き上シンプル。売却時の税制優遇が使える場合もあるため、税理士に確認を
相続放棄の検討
債務が多く相続自体を放棄したい場合は選択肢のひとつ。ただし相続発生を知った日から3か月以内に手続きが必要で、相続税対策としての放棄は慎重に検討を
生命保険・預貯金の活用
死亡保険金や預貯金で納付できる場合はそちらを優先。相続財産の全体像を早めに把握することが重要
STEP 1延納(分割払い)の制度
「一括で払えないが、毎年少しずつなら払える」という場合に使える制度です。最長20年に分割して納付できますが、分割した分だけ利子(利子税)がかかります。
延納の主な要件
③
担保を提供する
※相続税額100万円以下かつ延納期間3年以下の場合は不要
延納期間・利子税率の目安
不動産等の割合が75%以上
最長20年・利子税率0.2〜1.0%程度
⚠ 担保提供の手続きが煩雑です。不動産を売却できる場合は、売却資金で一括納付する方がシンプルなケースもあります。税理士に相談してください。
STEP 2物納(財産で納税)の制度
現金も延納も難しい場合の最終手段です。相続した財産そのもので税金を納めます。ただし審査が厳しく、必ず認められるわけではありません。
⚠ 物納は審査が厳しく、申請しても認められないことがあります。また物納する財産の評価額は相続税評価額(時価より低い場合が多い)になるため、売却の方が有利なケースもあります。必ず税理士に相談してください。
STEP 3申請期限の注意
「払えないと分かってから申請すればいい」と思っていると手遅れになります。申請期限は申告期限と同じです。
延納・物納はどちらも申告期限までに申請が必要
相続の開始を知った日の翌日から10か月以内
期限後の申請は原則認められません
よくあるご質問
Q相続税が払えない場合、まず何をすればいいですか?▼
A
まず相続財産の全体像を把握してください。不動産・預貯金・生命保険金などを整理すると、納税に使える資金が見えてきます。それでも不足する場合は延納・物納の申請を検討しますが、どちらも申告期限までに申請が必要です。早めに税理士に相談することをおすすめします。
Q延納と物納、どちらを選べばいいですか?▼
A
原則として延納が優先されます。延納でも納付が困難な場合にのみ物納が認められます。どちらが有利かは財産の内容・今後の収入見込みによって異なるため、税理士に相談して判断してください。
Q土地しかない相続で税金が払えない場合はどうなりますか?▼
A
土地しかない相続は延納・物納が必要になるケースが多いです。土地の売却ができるなら、売却資金で一括納付する方が手続き上シンプルです。売却が難しい場合は延納(担保として土地を提供)か物納(土地で納税)を検討することになります。いずれも要件があるため、早めに税理士に相談することをおすすめします。
Q相続税を払わないとどうなりますか?▼
A
申告期限を過ぎると延滞税・無申告加算税が課されることがあります。さらに放置すると、滞納処分の対象となることがあります。「払えない」と思ったら放置せず、早めに税理士に相談してください。延納・物納という選択肢があります。
相続税の金額を見て、「こんなに払えるのか」と目の前が暗くなる——
夕暮れの海を前に、ただ座っているような。
大切な人を亡くした後に、お金の話と向き合わなければならない。
それ自体が、すでにしんどいことですよね。
「払えない」は、放置していい状況ではありません。
延納・物納という制度があること、財産の整理の仕方によって状況が変わることもある。
まずそこから、整理してみてはいかがでしょうか。
行政書士髙橋 大輔
延納・物納の申請は提携税理士をご紹介します。遺産分割協議書の作成・財産目録の整理・相続手続き全体のサポートは当事務所が担当します。「払えるかどうか不安」という段階から、まずご相談ください。
当事務所のサポート内容
相続手続きで、こんな状況になっていませんか?「まず話だけ」という段階から承っています。
・相続税の申告に向けて、戸籍収集や遺産分割協議書の作成が必要で何から手をつければいいか分からない
・相続手続き全体のスケジュールを整理したい
・信頼できる税理士をどこで探せばいいか分からない
遺産分割協議書の作成・戸籍収集・手続き全体のスケジュール管理は行政書士がサポートできます。延納・物納の申請は提携税理士をご紹介します。
🏛 行政書士(当事務所)
財産目録の整理
遺産分割協議書の作成
戸籍収集・相続人の確定
📊 税理士(ご紹介)
相続税の申告
延納・物納の申請
特例・控除の適用
⚖ 司法書士(ご紹介)
不動産の相続登記
家族信託の設計
まとめ
延納
分割払い・最長20年・利子税あり
担保提供が必要。相続税額10万円超・一括困難が要件
物納
財産で納税・延納が困難な場合の最終手段
審査あり・必ず認められるわけではない。不動産が第1順位
期限
申告期限(10か月以内)と同じ。期限後の申請は原則不可
「払えないと分かってから」では手遅れになることがある。早めに税理士に相談を
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。延納・物納の申請は税理士の業務です。個別の判断は必ず税理士にご相談ください。記載内容は2026年6月時点の情報に基づきます。