はじめに

「親が一人暮らしをしているけれど、毎日様子を確認できるわけじゃない」

「体が弱ってきて、銀行や役所の手続きが一人では難しくなってきた」

——そういうご相談が、増えています。

認知症になる前の、「元気だけど不安がある」時期。この時期に備えておける仕組みが、見守り契約財産管理契約の2つです。

この記事では、2つの契約がそれぞれ何をする契約なのか、どう違うのか、どんな方に必要なのかを整理します。

📋 この記事でわかること
見守り契約とは何か・何をしてもらえるか
財産管理契約とは何か・任意後見との違い
2つの契約の使い分けと組み合わせ方
費用の目安と依頼先の選び方
よくあるご質問(5問)

見守り契約とは

見守り契約とは、簡単に言うと「定期的に連絡を取ってもらい、親御さんの様子を確認してもらう契約」です。

月1回の電話、数か月に1回の訪問など、あらかじめ決めた頻度で専門家や事業者が連絡を取ります。体調の変化、詐欺被害の兆候、生活の困りごとなど、早めにキャッチして家族に伝えるのが主な役割です。

できること
定期的な電話・訪問による安否確認/体調・生活状況の把握と家族への報告/任意後見を開始すべきタイミングの見極め/緊急時の連絡・対応
できないこと
財産の管理や銀行手続きの代行/買い物・家事・介護サービス(これはヘルパーの領域)/法律行為の代理
見守り契約は「つながり」を作る契約です。財産管理や法律行為の権限はなく、あくまで「様子を見る」ことが目的です。そのため、単独ではなく任意後見契約とセットで使うのが実務上の定番です。

財産管理契約とは

財産管理契約(財産管理委任契約)とは、「銀行の手続き・公共料金の支払い・役所への届出など、自分でやりにくくなった手続きを代わりにお願いする契約」です。

見守り契約との一番の違いは、実際に動いてもらえる点です。判断能力はまだあるけれど体が動きにくい——そういう時期に、具体的な手続きを代行してもらうための仕組みです。

できること(例)
預貯金の管理・引き出し/公共料金・施設費用の支払い/役所・医療機関への手続き代行/不動産の管理(賃貸収入の管理など)/収支の記録・報告
注意点
任意後見と違い、家庭裁判所の監督がない。受任者への信頼が前提になる。
判断能力が低下したら任意後見に移行する必要がある。

2つの契約の違いと使い分け

「見守り」と「財産管理」は似ているようで、役割がはっきり違います。

 
見守り契約
財産管理契約
目的
様子を確認・つながりを作る
手続きを代わりにやってもらう
使う時期
元気なうちから
体が動きにくくなってきたら
判断能力
あるうちが対象
あるうちが対象(低下後は任意後見へ)
代理権
なし
あり(契約で定めた範囲内)
裁判所の監督
なし
なし(任意後見になると入る)

2つは役割が違うので、組み合わせて使うのが一般的です。「元気なうちは見守り契約で様子を確認し、体が弱ってきたら財産管理契約で手続きをサポートしてもらい、判断能力が下がったら任意後見に移行する」——この流れを最初から設計しておくと、空白期間なくサポートが続きます。

任意後見・死後事務委任との関係

この2つの契約は、単独で完結するものではありません。「生前の備え全体」の中で、どの時期をカバーするかが決まっています。

1
元気なうち → 見守り契約
定期的な連絡で様子を確認。任意後見を開始すべきタイミングを見極める
2
体が弱ってきたら → 財産管理契約
判断能力はあるが体が動きにくい時期。手続きを代行してもらう
3
判断能力が低下したら → 任意後見契約
家庭裁判所の監督のもと、任意後見人が財産管理・身上監護を担う
4
お亡くなりになったら → 死後事務委任・遺言執行
葬儀・各種解約・相続手続きを進める

すべてを整える必要はありません。ご家族の状況と、どの時期のリスクが一番気になるかによって、必要な契約は変わります。

費用の目安

どちらの契約も、依頼する内容・頻度・相手によって費用が大きく変わります。

目安として参考にしてください。

 
見守り契約
財産管理契約
受任者報酬
月額3,000〜5,000円程度
月額5,000円〜(内容による)
公正証書
任意後見とセットなら公正証書で作成(手数料は内容による)
公正証書を推奨(銀行対応等で必要なことが多い)
社会福祉協議会が見守り・財産管理を担う「日常生活自立支援事業」があります。低額で利用できますが、対象者・内容に制限があります(主に判断能力がやや低下している方向け)。ご状況に応じてご案内します。

「親が一人で暮らしている町の、あの路地。今日も変わらずあるだろうか」

——離れて暮らすご家族が、ふとそう思う瞬間があると思います。

 

何かあってから動き出すのでは、間に合わないことがあります。

見守り契約も財産管理契約も、親御さんに判断能力があるうちにしか結べません。

「まだ大丈夫」と思えている、そのうちに。

何から話せばいいか分からなくても、大丈夫です。

その路地が今日も続いているうちに、一緒に考えましょう。

行政書士髙橋 大輔

三重県での相談先について

見守り契約・財産管理契約の受任者には、行政書士・司法書士・弁護士・社会福祉協議会・NPO法人・民間事業者など様々な選択肢があります。誰に頼むかは、費用・信頼関係・対応できる内容によって変わります。

当事務所ではこの2つの受任は行っていませんが、以下のサポートを承っています。

見守り・財産管理の仕組みや費用のご説明
ご状況に合う専門家・事業者のご紹介
任意後見・遺言書とあわせた全体設計のご相談
「どの契約が自分に必要か分からない」という段階からのご相談(初回無料・対面・電話・LINE・オンライン)

三重県鈴鹿市の行政書士事務所

任意後見・遺言に関するご相談を承っています

初回相談無料(対面・電話・LINE・オンライン)・出張対応可

対応業務・費用・対応エリアを確認する →無料相談のお問い合わせはこちら →LINEで無料相談する →

お電話・メール・LINEにて受付中

よくあるご質問
Q見守り契約だけ結ぶことはできますか?

A

契約としては単独でも可能です。ただし、事業者によっては「任意後見契約とセットでないと受任しない」というところも多いです。見守り契約の本来の目的が「任意後見を開始するタイミングを見極めること」であるため、セットで結ぶ方が実効性が高いです。
Q財産管理契約と任意後見契約は何が違うのですか?

A

一番の違いは「判断能力の有無」と「裁判所の関与」です。財産管理契約は判断能力があるうちに使う契約で、裁判所の監督はありません。任意後見は判断能力が低下した後に効力が発生し、家庭裁判所が選んだ任意後見監督人がチェックします。財産管理契約は信頼が前提になるため、受任者選びが特に重要です。
Q子どもが受任者になれますか?

A

できます。信頼できるお子さんに受任してもらうご家庭も多いです。ただし、子どもが遠方に住んでいる・複数いて意見が割れる可能性がある場合は、専門家や事業者に頼む方が後のトラブルを防げる場合があります。ご状況に応じてご相談ください。
Q認知症が始まってからでも契約できますか?

A

判断能力が残っていれば可能な場合があります。ただし、どちらの契約も「判断能力があること」が前提です。認知症が進んでしまうと結べなくなるため、「まだ大丈夫」と思えているうちに動き出すことをおすすめしています。判断能力が低下した後は、法定後見制度(家庭裁判所が後見人を選ぶ制度)を利用することになります。
Q三重県・鈴鹿市で相談できますか?

A

当事務所(行政書士髙橋大輔事務所・三重県鈴鹿市)にて承っています。この2つの契約の受任はしていませんが、どの契約が必要かの整理や、信頼できる専門家・事業者のご紹介をしています。対面・電話・LINE・オンラインでのご相談が可能です。初回相談は無料です。

まとめ
見守り
契約
定期的な電話・訪問で様子を確認。代理権はなく「つながり」を作る契約。任意後見のタイミングを見極めるためにセットで使うのが定番
財産
管理
契約
判断能力はあるが体が動きにくい時期に、手続きを代行してもらう契約。裁判所の監督はないため受任者への信頼が重要
使い
分け
見守り→財産管理→任意後見→死後事務委任という流れで、生前の備えを切れ目なく設計できる。すべて必要とは限らない
当事
務所
この2つの受任は現時点で行っていないが、整理・紹介・任意後見や遺言との全体設計はサポート可能
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。個別の事情により手続きや結果が異なる場合がありますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。

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