はじめに

子どもはいない。兄弟とも長年疎遠になっている。

自分が死んだとき、葬儀を頼める人も、部屋を片付けてくれる人も、思い浮かばない——。

あるいは、子どもはいるけれど遠くに住んでいて、迷惑をかけたくない。

自分の葬儀くらい、自分で段取りしておきたい——。

そういう方からのご相談、少なくありません。

死後事務委任契約は、葬儀・各種解約・遺品整理など、亡くなった後に必要な実務をあらかじめ誰かにお願いしておく契約です。

遺言書とは役割が違います。この記事では、その違いも含めて順を追って整理します。

「遺言書は書いたけど、それで十分なの?」と思っている方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。

📋 この記事でわかること
死後事務委任契約とは何か
遺言書との違い(役割の使い分け)
依頼できること・できないこと
費用の目安と支払い方法3種類
銀行口座凍結への対策
三重県・鈴鹿市での相談先

1. 死後事務委任契約とは

死後事務委任契約とは、簡単に言うと「自分が亡くなった後にやるべきことを、信頼できる人に前もってお願いしておく契約」です。

人が亡くなると、家族や周囲には様々な手続きが一気にのしかかります。葬儀の手配、役所への届出、病院や施設の費用精算、公共料金・携帯・サブスクの解約、遺品整理……。これらは遺言書には書けません。遺言書で決められるのは「誰に何を残すか」という財産の話だけです。

それ以外の「死後の実務」を担う仕組みが、死後事務委任契約です。

死後事務委任契約は、口頭でも法的には成立します。ただし実務上、銀行や役所・病院などで私文書だと手続きを断られるケースが多いため、公正証書で作成することを強くおすすめします

2. 遺言書との違い

「遺言書を書いておけば大丈夫」と思っていらっしゃる方も多いのですが、遺言書と死後事務委任契約では、カバーする範囲がまったく違います。

 
遺言書
死後事務委任契約
目的
財産を誰に渡すか決める
死後の実務手続きをお願いする
主な内容
相続・遺贈・遺言執行者の指定など
葬儀・納骨・各種解約・遺品整理など
財産の処理
できる
できない
葬儀・実務の手配
できない
できる

つまり、遺言書と死後事務委任契約は補完関係にあります。どちらか一方だけでは、死後の備えに空白が生まれます。「財産のこと(遺言)」と「実務のこと(死後事務委任)」をセットで準備しておくのが、残された方の負担を一番減らせる形です。

なお、「判断能力が低下したときの備え」として任意後見制度・成年後見制度との違いを知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

3. 依頼できること・できないこと

死後事務委任契約に盛り込める内容は、かなり幅広いです。一方で、できないことも明確にあります。

✅ 依頼できること(例)
・ 葬儀・火葬・納骨の手配
・ 死亡届の提出
・ 医療費・施設費用の精算
・ 公共料金・携帯の解約
・ 賃貸住宅の退去手続き
・ 遺品整理・住居の明け渡し
・ 関係者への死亡通知
・ SNS・サブスクの解約
・ ペットの引き渡し先への対応
・ 役所への各種届出
❌ 依頼できないこと

財産の分配・相続に関することは、死後事務委任契約では決められません。「〇〇に△△を渡す」という内容は、必ず遺言書に書く必要があります。

また、相続人間の遺産分割協議の代理も対象外です。死後事務委任はあくまで「実務の委任」であって、相続手続きそのものではありません。

4. こんな方に特に必要です

「家族がいるから大丈夫」と思っていても、実は必要なケースがあります。

① 頼れる家族・親族が近くにいない方
おひとりさまや、子どもが遠方に住んでいる方。亡くなった後に動いてくれる人がいない場合、手続きが止まってしまうリスクがあります。
② 家族に負担をかけたくない方
子どもが仕事を持ち、遠方にいる場合、葬儀や各種解約手続きだけで数週間かかることも。「子どもには財産だけ受け取ってほしい、手間はかけたくない」という方に向いています。
③ 内縁・事実婚のパートナーがいる方
法律上の相続人でないパートナーは、亡くなった後の手続きを行う権限がありません。死後事務委任契約を結んでおけば、パートナーに実務をお願いすることができます。
④ 葬儀・納骨の希望を確実に実現したい方
「家族葬にしてほしい」「散骨を希望している」など、自分の意向を具体的に伝えておきたい方。遺言書には書けない「事実行為」の希望を、契約として残せます。

5. 費用の目安

死後事務委任の費用は、「契約するとき」と「実際に使うとき」の2段階に分かれます。また、依頼先によって大きく変わります。

契約時の費用
公正証書作成手数料(公証役場)約1万1,000円
契約書作成・サポート費用(専門家報酬)数万〜30万円程度
預託金(死後事務の実費として事前に預ける)100〜200万円程度
執行時の費用(亡くなった後)

死後事務が実際に行われたときに、受任者への報酬が発生します。委任する内容の範囲によって変わりますが、専門家への依頼では20〜100万円以上になるケースもあります。

預託金は手続き完了後に残金が相続財産として戻ります。ただし手数料は引かれることがあります。
依頼先
特徴
社会福祉協議会
対象者・内容に制限あり(高齢者・おひとりさま向けが多い)
行政書士・司法書士・弁護士
契約書作成から手続きサポートまで一貫対応。遺言・相続手続きとあわせてお願いできる
民間事業者・NPO
見守り・身元保証とセットのプランが多い。事業者の信頼性の見極めが重要

⚠ 死亡連絡後は銀行口座が凍結されます

銀行は死亡の連絡を受けると、原則として口座の入出金を停止します。「費用は亡くなった後に口座から引き出せばいい」と考えていると、実際には引き出せず手続きが止まってしまう可能性があります。費用の手当て方法については「6. あらかじめ確認しておきたいこと」で解説しています。

6. あらかじめ確認しておきたいこと

便利な制度ですが、事前に知っておいてほしいことがあります。※クリックすると記事が開きます。

⚠ 相続人が契約を解除できる場合がある

死後事務委任契約は本人が亡くなると相続人に地位が引き継がれます。相続人が複数いて意見が割れた場合、契約が解除されるリスクがあります。

対策として、遺言書と組み合わせて「遺言執行者を通じて執行する」形にしておくと、トラブルを防ぎやすくなります。

⚠ 受任者が先に亡くなった場合のリスク

受任者(お願いする相手)が自分より先に亡くなってしまうと、契約が機能しなくなります。

受任者を法人(事業者・専門家事務所など)にするか、予備的受任者を指定しておくと安心です。

⚠ 預託金の管理リスク

死後事務の実費として事前に預ける「預託金」が、受任者の倒産や不正によって失われるリスクがあります。民間事業者に預ける場合は特に注意が必要です。

信託口座での管理や、公証役場での手続きを通じて保全する方法もあります。依頼先を選ぶ際に確認してみてください。

⚠ 遺言書との内容が矛盾しないよう注意
遺言書と死後事務委任契約の内容が食い違っていると、どちらが優先されるかをめぐってトラブルになることがあります。両方を作成する場合は、内容の整合性を確認しながら進めることが大切です。
💡 費用の支払い方法:3つの選択肢

死亡後は銀行口座が凍結されるため、費用は生前に手当てしておく必要があります。

方式
生前の出費
ポイント
① 預託金方式
100〜200万円
即動ける・預け先の信頼性が重要
② 遺産清算方式
不要
遺言書とセット・当事務所採用
③ 保険金清算方式
不要
審査次第で加入できない場合あり

当事務所のアドバイス:おひとり様のケースには②遺産清算方式が預託金不要で最もスムーズです。ただしご状況によって最適な方法は異なりますので、まずはご相談ください。

「自分の最期を、自分で整えておきたい」

——そう思うことは、暗いことでも、縁起でもないことでもないと思っています。

好きな形で見送ってほしい。

残した人に、余計な手間をかけたくない。

そういう気持ちを、きちんと形にしておくことが、自分らしい最期への備えだと思います。

死後のことを誰かに話すのは、少し勇気がいることだと思います。

でも、話してみると「こんなに気が楽になるとは思わなかった」とおっしゃる方が多いんです。

準備を整えることは、残りの時間をもっと自由に生きることにもつながります。

行政書士髙橋 大輔

7. 三重県で死後事務委任契約を相談するには

死後事務委任契約は、行政書士・司法書士・弁護士・社会福祉協議会・民間事業者など、様々な窓口があります。ご状況によって最適な依頼先が変わりますので、まずはご相談ください。

当事務所では、遺言執行・相続手続きの一環として死後事務委任契約のサポートを承っています。社会福祉協議会や他の専門家が適切な場合は、そちらへのご案内もいたします。

死後事務委任契約の内容整理・契約書作成のサポート
遺言書・遺言執行とあわせた一括サポート
社協・民間事業者など最適な依頼先のご案内
「何から始めればいいか分からない」という段階からの相談(初回無料・対面・電話・LINE・オンライン)
🏛 行政書士(当事務所)
死後事務委任のサポート
公正証書遺言の作成
遺言執行者の引き受け
相続手続き全般
🏢 社協・民間事業者(ご案内)
費用を抑えたい方
見守り・身元保証とセットで
希望される方向け

三重県鈴鹿市の行政書士事務所

死後事務委任・遺言に関するご相談を承っています

初回相談無料(対面・電話・LINE・オンライン)・出張対応可

対応業務・費用・対応エリアを確認する →無料相談のお問い合わせはこちら →LINEで無料相談する →

お電話・メール・LINEにて受付中

8. よくあるご質問
Q. 家族がいても死後事務委任契約は必要ですか?

家族がいても、遠方に住んでいる・仕事が忙しい・負担をかけたくないなどの事情がある場合には有効です。また、葬儀の形式や納骨場所など、自分の意向を確実に実現したい場合にも役立ちます。「家族がいるから不要」とは一概に言えません。

Q. 遺言書を作れば死後事務委任契約は不要ですか?

役割が違うため、遺言書だけでは不十分な場合があります。遺言書は「誰に何を渡すか」を決めるもので、葬儀・解約・遺品整理などの実務は対象外です。両方を組み合わせることで、死後の備えが完成します。

Q. 社会福祉協議会と専門家、どちらに頼むべきですか?

費用を抑えたい・内容がシンプルな場合は社協が向いている場合があります。ただし社協は対象者や委任内容に制限があることが多く、相続手続きとあわせて一括でお願いしたい場合は専門家への依頼が適しています。ご状況に応じてご案内しますので、まずはご相談ください。

Q. 契約後に内容を変更できますか?

できます。判断能力があるうちであれば、受任者との合意のうえで契約内容を変更・解除することが可能です。公正証書で作成した場合は変更にも公証役場の手続きが必要になります。

Q. 三重県・鈴鹿市で相談できますか?

当事務所(行政書士髙橋大輔事務所・三重県鈴鹿市)にて承っています。対面・電話・LINE・オンラインでのご相談が可能です。出張相談も対応しています。初回相談は無料ですので、「まず話だけ聞きたい」という段階でも気軽にご連絡ください。

9. まとめ
何のため
亡くなった後の実務(葬儀・解約・遺品整理など)をあらかじめ誰かにお願いしておく契約
遺言との違い
遺言書=財産の承継。死後事務委任=実務の委任。役割が違うため両方必要なことが多い
費用
公正証書手数料約1万1,000円+専門家報酬。支払い方法は預託金・遺産清算・保険金の3種類から選択
注意点
死亡後は銀行口座が凍結される。費用の手当ては生前に済ませておくことが重要
当事務所
遺産清算方式(預託金不要)で対応。遺言執行・相続手続きとあわせた一括サポートが可能
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。個別の事情により手続きや結果が異なる場合がありますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。記載内容は2026年6月時点の情報に基づきます。

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