はじめに
「エンディングノートを書いておけば安心ね」——よく聞く言葉です。
でも実は、エンディングノートだけでは、財産の分け方を決められません。
法的な効力がないからです。
この記事では、エンディングノートと遺言書の違い、どちらをどう使えばいいのか、できるだけわかりやすくお伝えします。
STEP 1そもそもエンディングノートとは?
エンディングノートは、ご家族に伝えたい情報や希望を、自由な形式で書き残すノートです。法的な効力はありませんが、書いておくことでご家族の負担を大きく減らせる「情報の伝言ノート」として、とても役立ちます。
✅ エンディングノートに書いておくと役立つこと
💴 お金・契約まわり
銀行・証券口座、生命保険、年金、ローンなど
💻 デジタル関係
ネット銀行、SNS、サブスク等のID・パスワード
🏥 医療・連絡先
かかりつけ医、緊急連絡先、友人・知人の連絡先
⚱️ 葬儀・お墓
葬儀の希望、お墓の場所、宗派など
特に「お金・契約まわり」の項目は、ご家族にとって最も困りやすいところです。預貯金や不動産、保険などを書き出す具体的な方法は、次の記事で詳しく解説しています。
2026.04.14
はじめに
「遺言書を書こうと思ったけど、まず自分の財産を整理しないと…」
「親が亡くなったけど、何がどこにあるかわからなくて手続きが進まない」
どちらの状況でも、最初に必要になるのが財産目録です。財産がどこに・どれだけ...
📋 役割分担のイメージ
エンディングノート → 「家族が困らない情報」を伝える
遺言書 → 「財産を確実に渡す」ための法的な書類
💬 最近は「ネット銀行の口座があったらしいけど、どこか分からない」というご相談も増えてきました。スマホやパソコンの中にしか情報がないため、ご家族が見つけられず困るケースです。エンディングノートに書いておくだけで、ご家族の手間が大きく違います。
💡 三重県内でも、エンディングノートを無料配布しています
三重県内の多くの自治体で、独自のエンディングノートや関連冊子が無料配布されています。「いきなり市販のものを買う前に、まずは無料のものから書いてみたい」という方は、お住まいの自治体のものを活用するのもおすすめです。
📋 三重県内の配布・案内ページ(北から南へ)
▷津市|「あなたと家族をつなぐエンディングノート」(津地方法務局・三重県司法書士会作成)を案内
▷松阪市|松阪市版エンディングノート「もめんノート」
▷伊勢市|住まいのエンディングノート(空き家対策に特化)
▷伊賀市|伊賀市エンディングノート+「私と家族の終活べんり帳」
※上記以外の自治体でも配布されている場合があります。最新の配布状況や入手方法は、お住まいの市役所・社会福祉協議会へお問い合わせください。
STEP 2エンディングノートと遺言書の違い
ここまでエンディングノートの便利さを見てきました。ただ、エンディングノートには財産の分け方を決める力はありません。ここが遺言書との一番大きな違いです。並べて見てみましょう。
📋 エンディングノート
法的効力:なし
書き方:自由
目的:希望や情報を家族に伝える
効果:家族にとって参考情報になる
📜 遺言書
法的効力:あり(民法第960条以下)
書き方:法律で決まった形式
目的:財産の分け方を決める
効果:相続人がその内容に従う必要がある
⚠ ここがいちばん大事なポイント
エンディングノートに「長男に自宅を渡したい」と書いても、法的な効力はありません。財産の分け方は、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)で決まります。
確実に希望どおりに分けたいなら、遺言書が必要です。
💬 「市販のエンディングノートに財産のことを書いたから大丈夫」というご相談を受けることがあります。気持ちはとてもよくわかるのですが、ご家族にとっては「参考情報」にしかなりません。本当に渡したい人へ確実に届けるには、もう一歩、遺言書という形にしておく必要があります。
STEP 3遺言書には3つの種類があります
遺言書と一口に言っても、書き方が3種類あります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
① 自筆証書遺言
書き方:自分で手書き
費用:低い
注意:無効になる可能性
💡 法務局の保管制度(後述)の活用がおすすめ
② 公正証書遺言
書き方:公証人が作成
費用:かかる
注意:証人2名が必要
✓ 最も確実・紛失や偽造の心配なし
③ 秘密証書遺言
書き方:内容を秘密にして公証
費用:公正証書並みにかかる
注意:公証人が中身を確認しないため、形式不備で無効になるリスクあり
確実性も手軽さも①②に劣るため、実務で選ばれることは少ない
📋 実務でよく使われるのは①と②
秘密証書遺言は、内容を誰にも知られたくないというニーズには応えられますが、公証人が中身を確認しないため、形式不備で無効になるリスクが残ります。費用も公正証書並みにかかるため、確実性と手軽さの両面で①②に劣るのが現状です。
一般的には、手軽さの①自筆証書遺言(+法務局保管制度)か確実さの②公正証書遺言のどちらかを選ぶ方がほとんどです。
💬 「自筆証書と公正証書、どちらがいいですか?」というご相談はとても多いです。簡単に言うと、確実性を重視するなら公正証書、費用を抑えたいなら自筆証書+法務局保管制度の組み合わせがおすすめです。ご家庭の状況に合わせてご一緒に考えさせてください。
自筆証書遺言を選ぶ場合の具体的な書き方や、無効にならないためのルールは次の記事で詳しく解説しています。
2026.04.11
はじめに
自筆証書遺言は、紙とペンさえあれば費用をかけずに作れる遺言書です。「自分で書けそう」と思っている方も多いと思います。
ただ実際には、形式が整っていなかったという理由で無効になるケースが少なく...
STEP 4知っておきたい「法務局保管制度」
2020年に始まった自筆証書遺言の法務局保管制度は、知らない方も多いのですが、とても便利な制度です。自宅で保管するときの心配ごとを、ほとんど解決してくれます。
🔐
メリット①
紛失・偽造の心配なし
法務局が安全に保管
⚖️
メリット②
家庭裁判所の検認が不要
家族の手続きが楽に
📧
メリット③
家族へ通知される制度あり
「遺言があると知られない」を防ぐ
💴
メリット④
費用は3,900円のみ
申請1件あたり
※「検認」とは:亡くなった後、家庭裁判所で遺言書の存在と内容を確認する手続きのことです。自筆証書遺言を自宅などで保管していた場合は必要ですが、法務局保管制度を使えば、この検認が不要になります。
📋 申請先
ご自宅の住所地・本籍地、または所有する不動産の所在地を管轄する法務局で申請できます。
💬 ご相談の中で「自宅で保管していた遺言書が、亡くなった後にご家族に見つけてもらえなかった」というケースを目にすることがあります。せっかく書いたのに伝わらないのは、本当にもったいないことです。法務局保管制度なら、その心配はありません。
「エンディングノートを書いたから、もう大丈夫」——よく聞く言葉です。
気持ちはとてもよく分かります。書くだけで、肩の荷が少し下りた気がしますよね。
ただ、ご家族の側に立つと、もう一歩、遺言書という形にしておいてもらえると、本当に助かるのです。
エンディングノートと遺言書は、どちらも大切です。
役割が違うので、両方そろえて初めてご家族の安心が完成すると私は思っています。
「いきなり遺言書はハードルが高い」と感じる方も多いと思います。
まずはエンディングノートから、というのも一つの始め方です。
どこから手をつけたらいいか、一緒に考えさせてください。
行政書士髙橋 大輔
「そもそも自分に遺言書は必要なのか?」と迷っている方は、判断のヒントになる具体的なケースを次の記事で紹介しています。
2026.04.11
はじめに
「うちは特別な事情もないし、遺言書なんて必要ないかな」と思っている方も多いのではないでしょうか。
確かに、誰もが必ずしも遺言書を作らなければならないわけではありません。
でも、「作らなかったこ...
当事務所のサポート内容
こんなタイミングでご相談をいただいています。
・エンディングノートは書いたが、遺言書も作っておくべきか迷っている
・自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらを選べばいいか分からない
・遺言書を書きたいが、何から始めればいいか分からない
・子どもに親の財産情報をうまく伝える方法を知りたい
最初から最後までお任せいただくこともできますし、「まずは話を聞きたい」だけでも構いません。
🏛 行政書士(当事務所)
遺言書の起案サポート
自筆証書遺言の作成補助
公正証書遺言の準備
エンディングノートの整理サポート
⚖ 公証役場(手続き先)
公正証書遺言の作成
当事務所が同行・段取り
📊 税理士(ご紹介)
相続税の試算
税負担を抑える具体的な対策
まとめ
重要
エンディングノートに法的効力はない
財産の分け方を確実にするには遺言書が必要
遺言
3種類
自筆証書・公正証書・秘密証書
実務では「自筆証書(法務局保管)」か「公正証書」が一般的
保管
制度
法務局保管制度(2020年〜)が便利
3,900円で紛失防止・検認不要・家族への通知制度あり
併用
が
おすすめ
エンディングノート+遺言書の組み合わせ
情報の整理は前者、法的な分け方は後者で
📋 ご家族の安心が完成します
エンディングノートも遺言書も、どちらもご家族のことを思って書くものです。「うちの場合はどうすればいい?」というご相談、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせください。
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言を提供するものではありません。具体的な遺言書の作成にあたっては、専門家にご相談ください。