はじめに

「エンディングノートを書いておけば安心ね」——よく聞く言葉です。

でも実は、エンディングノートだけでは、財産の分け方を決められません

法的な効力がないからです。

この記事では、エンディングノートと遺言書の違い、どちらをどう使えばいいのか、できるだけわかりやすくお伝えします。

STEP 1そもそもエンディングノートとは?

エンディングノートは、ご家族に伝えたい情報や希望を、自由な形式で書き残すノートです。法的な効力はありませんが、書いておくことでご家族の負担を大きく減らせる「情報の伝言ノート」として、とても役立ちます。

✅ エンディングノートに書いておくと役立つこと
💴 お金・契約まわり
銀行・証券口座、生命保険、年金、ローンなど
💻 デジタル関係
ネット銀行、SNS、サブスク等のID・パスワード
🏥 医療・連絡先
かかりつけ医、緊急連絡先、友人・知人の連絡先
⚱️ 葬儀・お墓
葬儀の希望、お墓の場所、宗派など
🫀 医療の意思表示
延命治療、臓器提供などの希望
💌 家族へのメッセージ
伝えたい想い、感謝の言葉

特に「お金・契約まわり」の項目は、ご家族にとって最も困りやすいところです。預貯金や不動産、保険などを書き出す具体的な方法は、次の記事で詳しく解説しています。

📋 役割分担のイメージ
エンディングノート → 「家族が困らない情報」を伝える
遺言書 → 「財産を確実に渡す」ための法的な書類
💬 最近は「ネット銀行の口座があったらしいけど、どこか分からない」というご相談も増えてきました。スマホやパソコンの中にしか情報がないため、ご家族が見つけられず困るケースです。エンディングノートに書いておくだけで、ご家族の手間が大きく違います。

💡 三重県内でも、エンディングノートを無料配布しています

三重県内の多くの自治体で、独自のエンディングノートや関連冊子が無料配布されています。「いきなり市販のものを買う前に、まずは無料のものから書いてみたい」という方は、お住まいの自治体のものを活用するのもおすすめです。

📋 三重県内の配布・案内ページ(北から南へ)
桑名市|桑名市版エンディングノート
いなべ市|終活関連の取り組み(長寿福祉課)
四日市市|高齢者終活支援事業として配布
鈴鹿市|「わたしの人生ノート」(鈴鹿市社協)
津市|「あなたと家族をつなぐエンディングノート」(津地方法務局・三重県司法書士会作成)を案内
松阪市|松阪市版エンディングノート「もめんノート」
伊勢市|住まいのエンディングノート(空き家対策に特化)
伊賀市|伊賀市エンディングノート+「私と家族の終活べんり帳」

※上記以外の自治体でも配布されている場合があります。最新の配布状況や入手方法は、お住まいの市役所・社会福祉協議会へお問い合わせください。

STEP 2エンディングノートと遺言書の違い

ここまでエンディングノートの便利さを見てきました。ただ、エンディングノートには財産の分け方を決める力はありません。ここが遺言書との一番大きな違いです。並べて見てみましょう。

📋 エンディングノート
法的効力:なし
書き方:自由
目的:希望や情報を家族に伝える
効果:家族にとって参考情報になる
📜 遺言書
法的効力あり(民法第960条以下)
書き方:法律で決まった形式
目的:財産の分け方を決める
効果:相続人がその内容に従う必要がある
⚠ ここがいちばん大事なポイント

エンディングノートに「長男に自宅を渡したい」と書いても、法的な効力はありません。財産の分け方は、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)で決まります。
確実に希望どおりに分けたいなら、遺言書が必要です。

💬 「市販のエンディングノートに財産のことを書いたから大丈夫」というご相談を受けることがあります。気持ちはとてもよくわかるのですが、ご家族にとっては「参考情報」にしかなりません。本当に渡したい人へ確実に届けるには、もう一歩、遺言書という形にしておく必要があります。

STEP 3遺言書には3つの種類があります

遺言書と一口に言っても、書き方が3種類あります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

① 自筆証書遺言
書き方:自分で手書き
費用:低い
注意:無効になる可能性
💡 法務局の保管制度(後述)の活用がおすすめ
② 公正証書遺言
書き方:公証人が作成
費用:かかる
注意:証人2名が必要
✓ 最も確実・紛失や偽造の心配なし
③ 秘密証書遺言
書き方:内容を秘密にして公証
費用:公正証書並みにかかる
注意:公証人が中身を確認しないため、形式不備で無効になるリスクあり
確実性も手軽さも①②に劣るため、実務で選ばれることは少ない
📋 実務でよく使われるのは①と②

秘密証書遺言は、内容を誰にも知られたくないというニーズには応えられますが、公証人が中身を確認しないため、形式不備で無効になるリスクが残ります。費用も公正証書並みにかかるため、確実性と手軽さの両面で①②に劣るのが現状です。

一般的には、手軽さの①自筆証書遺言(+法務局保管制度)確実さの②公正証書遺言のどちらかを選ぶ方がほとんどです。

💬 「自筆証書と公正証書、どちらがいいですか?」というご相談はとても多いです。簡単に言うと、確実性を重視するなら公正証書、費用を抑えたいなら自筆証書+法務局保管制度の組み合わせがおすすめです。ご家庭の状況に合わせてご一緒に考えさせてください。

自筆証書遺言を選ぶ場合の具体的な書き方や、無効にならないためのルールは次の記事で詳しく解説しています。

STEP 4知っておきたい「法務局保管制度」

2020年に始まった自筆証書遺言の法務局保管制度は、知らない方も多いのですが、とても便利な制度です。自宅で保管するときの心配ごとを、ほとんど解決してくれます。

🔐
メリット①
紛失・偽造の心配なし
法務局が安全に保管
⚖️
メリット②
家庭裁判所の検認が不要
家族の手続きが楽に
📧
メリット③
家族へ通知される制度あり
「遺言があると知られない」を防ぐ
💴
メリット④
費用は3,900円のみ
申請1件あたり
※「検認」とは:亡くなった後、家庭裁判所で遺言書の存在と内容を確認する手続きのことです。自筆証書遺言を自宅などで保管していた場合は必要ですが、法務局保管制度を使えば、この検認が不要になります。
📋 申請先

ご自宅の住所地・本籍地、または所有する不動産の所在地を管轄する法務局で申請できます。

💬 ご相談の中で「自宅で保管していた遺言書が、亡くなった後にご家族に見つけてもらえなかった」というケースを目にすることがあります。せっかく書いたのに伝わらないのは、本当にもったいないことです。法務局保管制度なら、その心配はありません。

「エンディングノートを書いたから、もう大丈夫」——よく聞く言葉です。

気持ちはとてもよく分かります。書くだけで、肩の荷が少し下りた気がしますよね。

ただ、ご家族の側に立つと、もう一歩、遺言書という形にしておいてもらえると、本当に助かるのです。

エンディングノートと遺言書は、どちらも大切です。

役割が違うので、両方そろえて初めてご家族の安心が完成すると私は思っています。

「いきなり遺言書はハードルが高い」と感じる方も多いと思います。

まずはエンディングノートから、というのも一つの始め方です。

どこから手をつけたらいいか、一緒に考えさせてください。

行政書士髙橋 大輔

「そもそも自分に遺言書は必要なのか?」と迷っている方は、判断のヒントになる具体的なケースを次の記事で紹介しています。

当事務所のサポート内容

こんなタイミングでご相談をいただいています。

エンディングノートは書いたが、遺言書も作っておくべきか迷っている
自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらを選べばいいか分からない
遺言書を書きたいが、何から始めればいいか分からない
子どもに親の財産情報をうまく伝える方法を知りたい

最初から最後までお任せいただくこともできますし、「まずは話を聞きたい」だけでも構いません。

🏛 行政書士(当事務所)
遺言書の起案サポート
自筆証書遺言の作成補助
公正証書遺言の準備
エンディングノートの整理サポート
⚖ 公証役場(手続き先)
公正証書遺言の作成
当事務所が同行・段取り
📊 税理士(ご紹介)
相続税の試算
税負担を抑える具体的な対策

三重県鈴鹿市の行政書士事務所

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まとめ
重要
エンディングノートに法的効力はない
財産の分け方を確実にするには遺言書が必要
遺言
3種類
自筆証書・公正証書・秘密証書
実務では「自筆証書(法務局保管)」か「公正証書」が一般的
保管
制度
法務局保管制度(2020年〜)が便利
3,900円で紛失防止・検認不要・家族への通知制度あり
併用

おすすめ
エンディングノート+遺言書の組み合わせ
情報の整理は前者、法的な分け方は後者で

📋 ご家族の安心が完成します

エンディングノートも遺言書も、どちらもご家族のことを思って書くものです。「うちの場合はどうすればいい?」というご相談、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせください。

【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言を提供するものではありません。具体的な遺言書の作成にあたっては、専門家にご相談ください。

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