はじめに

はじめに

遺言書は一度作ったら終わりではありません。人生の変化(財産の増減・家族構成の変化・気持ちの変化)に合わせて書き直すことは、むしろ推奨されるべきことです。

この記事では、書き直しの2つの方法・一部訂正が危険な理由・見直しが必要なタイミング・撤回のパターンを詳しく解説します。

まず知っておくこと:最新の遺言が法的に優先される

STEP 1まず知っておくこと:最新の遺言が法的に優先される
📋 内容が矛盾する遺言が複数ある場合(民法第1023条)

日付が最も新しい遺言書が優先されます。遺言はいつでも・何度でも書き直すことができます。ただし変更の手続きは法律で定められた方式に従う必要があります。

書き直しの2つの方法

STEP 2書き直しの2つの方法
✅ ① 新しく作り直す(推奨)

「前の遺言をすべて撤回し、本遺言を最終意思とする」という条項を冒頭に入れた上で、最新の意思を盛り込んだ遺言書をゼロから作成します。

メリット:無効リスクなし・内容が明確・家族が混乱しない
⚠ ② 一部を訂正・加筆する(非推奨)

民法第968条第3項で定められた4つの要件をすべて満たす必要があります。

訂正箇所を指示する
署名する
変更内容を付記する
変更箇所に押印する
→ 1つでも誤ると訂正が無効になるだけでなく遺言書全体の有効性に疑義が生じる。実務上は全く推奨しない。

「前の遺言をすべて撤回する」条項の使い方

STEP 3「前の遺言をすべて撤回する」条項の使い方
📋 なぜこの条項が重要か

自筆証書遺言と公正証書遺言が混在している場合など、複数の遺言書があると相続人がどの財産がどの遺言で指定されているかを照合する作業が発生し混乱と負担を与えます。「すべて撤回」条項があれば最新の遺言だけを見れば足りるためシンプルです。

⚠ 「すべて撤回」と書いたら財産の記載を漏らさない

「すべて撤回」条項を入れると過去の遺言は完全に無効になります。新しい遺言ですべての財産の分配を漏れなく記載することが必須です。記載漏れがあると、その財産は法定相続分で分けられることになります。

遺言が撤回扱いになる3つのパターン

STEP 4遺言が撤回扱いになる3つのパターン
新しい
遺言
新しい遺言と前の遺言が矛盾する部分は、新しい遺言が自動的に優先される(民法第1023条)
破棄
自筆証書遺言を物理的に破棄(シュレッダー等)すると撤回とみなされる(民法第1024条)。なお斜線を引くだけでも撤回扱いになる(最高裁平成27年11月20日判決)
財産の
処分
遺言に書いた不動産を生前に売却した場合、その部分は撤回されたものとみなされる(民法第1023条第2項)

見直しが必要な3つのタイミング

STEP 5見直しが必要な3つのタイミング
推定相続人の変化 孫の誕生・養子縁組・相続人の死亡・離婚・再婚など
財産構成の変化 不動産の売買・株式の売却・多額の借財・自宅の建て替えなど
関係性・気持ちの変化 介護をしてくれた親族に多く残したい・特定の団体に寄付したいなど

まとめ

まとめ
原則
作り直し
一部訂正は民法第968条第3項の4要件が必要・1つでも誤ると無効
実務上は訂正せず作り直すことを強く推奨
撤回
注意
斜線を引くだけで撤回扱い・財産を売却しても撤回扱い
民法第1023条・第1024条|意図しない撤回に注意
定期
見直し
相続人・財産・気持ちに変化があったときは速やかに確認
「曖昧な状態を一切残さない」ことが書き直しの鉄則

📋 内容確認・書き直しのご相談はお気軽に

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。遺言書の作成・変更は専門家(行政書士・司法書士等)にご相談いただくことを推奨します。

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