はじめに

はじめに

相続手続きや遺言作成を始めようとしたとき、「何がどこにあるか分からない」という状況が最大の障壁になります。財産目録はすべての相続対策の出発点です。

この記事では、財産の種類別の確認方法・見落としやすい財産・遺言書との連動を詳しく解説します。

財産の種類別確認方法

STEP 1財産の種類別確認方法
不動産
登記事項証明書(法務局で取得・1通600円)で所在・地番・地目・床面積を確認
固定資産税評価証明書で評価額も把握しておく
預貯金
通帳・残高証明書で金融機関名・支店名・口座番号・残高を確認
ネットバンク・休眠口座の見落とし注意
保険
保険証券で保険会社名・証券番号・保険金額・受取人を確認
受取人が古いままになっているケースが多い。定期的な見直しを
有価
証券
証券口座の取引残高報告書で銘柄・数量・評価額を確認
負債
借入金(住宅ローン・カードローン)+保証債務(他者の借金を保証している場合・相続すると引き継ぐ)
負債は相続放棄の判断にも直結するため必ず把握する
※住宅ローンの場合は団体信用生命保険の加入の有無や保障内容も同時に確認する

見落としやすい財産

STEP 2見落としやすい財産
⚠ デジタル資産
ネットバンク・ネット証券・暗号資産(仮想通貨)・ポイント等。IDとパスワードを別途管理してエンディングノートに記録しておくことが推奨される
⚠ みなし相続財産(相続税法第3条)
死亡保険金・死亡退職金・iDeCoの死亡一時金は本来の相続財産ではないが相続税の課税対象。財産目録に含めて把握する必要がある
⚠ 名義預金
名義は子でも実質的に被相続人が管理している預金は相続財産に含まれる可能性がある。税務調査で最も指摘されやすい申告漏れの一つ

遺言書・相続税試算との連動

STEP 3遺言書・相続税試算との連動
📋 財産目録が整うと3つがスムーズになる
遺言書の作成 2019年改正で財産目録のみパソコン作成可(民法第968条第2項)。各ページに署名・押印が必要。財産を事前に整理しておくと遺言本文の作成がスムーズになる
相続税の試算(税理士業務) 財産の全体像と評価額が分かれば、基礎控除との比較・節税対策の検討が可能になる
相続発生後の手続き 財産目録があれば残された家族が「何がどこにあるか」を素早く把握でき手続きの遅延・漏れを防げる

財産目録の実際の書き方・記載例

STEP 4財産目録の実際の書き方・記載例

書式は自由ですが、誰が読んでも財産を特定できることが最重要です。以下の項目を財産の種類ごとに一覧表形式で記載することをおすすめします。

📋 不動産の記載例
所在:三重県○○市○○町○番地
地番:○番○
地目:宅地  地積:○○○.○○㎡
家屋番号:○番○ 種類:居宅
構造:木造瓦葺2階建 床面積:1階○○.○○㎡/2階○○.○○㎡
※登記事項証明書の記載通りに書く
📋 預貯金の記載例
金融機関名:○○銀行 支店名:○○支店
口座種別:普通預金 口座番号:○○○○○○○
名義:○○ ○○(本人名義)
📋 生命保険の記載例

財産目録に記載するのは受取人が被相続人本人の保険(解約返戻金・満期保険金等が相続財産になるもの)に限ります。受取人が相続人に指定されている死亡保険金は受取人固有の財産のため記載不要です。

保険会社:○○生命保険 証券番号:○○○○○○○○
保険種類:養老保険 解約返戻金目安:○○○万円
受取人:本人(○○ ○○)
📋 有価証券(株式・投資信託等)の記載例
証券会社:○○証券 支店名:○○支店
口座番号:○○○○○○○○
銘柄:○○株式会社(証券コード:○○○○) 株数:○○○株
銘柄:○○投資信託 口数:○○○○○口
※取引残高報告書を参照。銘柄・口数は変動するため定期的に更新する
📋 負債の記載例
借入先:○○銀行 種別:住宅ローン
残高:○○○○万円(令和○年○月時点)
返済期間:令和○年○月まで
⚠ 残高・評価額は定期的に更新する

財産目録は作って終わりではありません。残高・評価額は変動するため、年1回程度の見直しを推奨します。また遺言書の財産目録として添付する場合は、各ページに署名・押印が必要です(民法第968条第2項)。

まとめ

まとめ
5種類
不動産・預貯金・保険・有価証券・負債を一覧化
負債も必ず含める。相続放棄の判断に直結する
見落とし
注意
デジタル資産・みなし相続財産・名義預金
相続税の計算対象になるものも含めて把握することが重要
連動
遺言作成・相続税試算・相続発生後の手続きすべての前提
財産目録が整えば専門家への相談もスムーズになる

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【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。個別の事情により手続きや結果が異なる場合がありますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。

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