はじめに

「遺言書を書いておけば安心」——そう思って準備された方も多いのではないでしょうか。

ところが実際には、せっかく書いた遺言書が「法的に使えない」と判定されたり、かえって家族の間にトラブルを生んでしまうケースは少なくありません。

この記事では、遺言書にまつわるよくある5つの誤解と、それぞれの対策をわかりやすく解説します。
ご自身やご家族の遺言書に当てはまるものがないか、ぜひチェックしてみてください。

よくある5つの誤解

❌ 誤解①「手書きならどんな書き方でも有効」

これは本当によくあります。
もしご自身で遺言書を書かれたなら、次の4つの要件(全文を自分で書く・日付・署名・押印)を満たしているか確認してみてください。
このうち1つでも欠けると、遺言書全体が無効になってしまいます。

たとえば、こんなケースが無効になります。

日付を「令和○年○月吉日」と書いてしまった(特定できないため無効)
本文をパソコンで作成した(全文自書の要件を満たさない)
押印を忘れていた
対策:法務局の保管制度(3,900円)を使うか、公正証書遺言を選ぶのが安心です。
作成後に専門家に形式をチェックしてもらうだけでも、無効リスクは大きく減ります。

❌ 誤解②「うちは家族仲が良いから揉めない」

ご家族の仲が良いのは素晴らしいことです。
でも、相続の場面ではそれだけでは守りきれないことがあります。

💬 ご相談に来られる方の多くが、最初は「うちは大丈夫だと思います」とおっしゃいます。でもお話を聞いていくと、「実は兄の奥さんが…」「実は疎遠になっている相続人がいて…」と出てくることが少なくありません。

ご本人同士は良くても、それぞれの配偶者や周囲の方が「もらえるものはもらっておいた方がいい」と主張し始めることがあります。
遺言書がなければ、相続人全員の合意が必要な「遺産分割協議」を行うことになり、ルールがないこと自体が争いのきっかけになります。

⚠ 裁判所の統計では、遺産分割の調停のうち約3割は遺産額1,000万円以下のケースで起きています。
「うちは財産が少ないから大丈夫」とも言い切れません。
対策:「揉めないから大丈夫」ではなく、「揉めないように遺言書を残す」という発想の転換が大切です。

❌ 誤解③「公正証書で作れば絶対に安全」

公正証書遺言を選ばれた方は「これで安心」と思われるかもしれません。
たしかに書き方の不備で無効になるリスクはほぼありません。
しかし、内容まで万能というわけではありません

作成時に認知症が進んでいた場合、「遺言を書く判断能力がなかった」と争いになることがある
不公平な分け方をすると、形式は有効でも家族間の感情的な対立を招く
対策:公正証書を作る際に、判断能力があることを示す記録(医師の診断書など)を残しておくと安心です。
分け方の「理由」を付言事項に書いておくことで、感情的な対立も和らげられます。

❌ 誤解④「一度作れば一生そのままでよい」

あなたの遺言書は、いつ作りましたか?
遺言書を作ってから相続が起きるまでには、何年も何十年も経つことがあります。
その間にご自身の財産や家族の状況が変わると、遺言書の内容と実態がズレてしまいます。

たとえば遺言書に「この不動産を長男に」と書いたのに、その後売却していた場合、その部分は撤回されたものとして扱われます。

見直しのタイミングの目安はこちらです。

不動産の売却・取得
退職・事業の引き継ぎ
配偶者が先に亡くなった
子の結婚・離婚
孫の誕生
対策:3〜5年に一度は内容を見直しましょう。
「作ったら終わり」ではなく「最新の状態に保つこと」が大切です。

❌ 誤解⑤「自分の財産だから全部自由に決められる」

ご自身の財産だから自由に分け方を決めたい——そう思われるのは自然なことです。
ただ、完全に自由というわけではありません

法律には「遺留分」という仕組みがあり、あなたの配偶者やお子さん・ご両親には最低限受け取れる取り分が保障されています(兄弟姉妹には遺留分はありません)。

この遺留分を無視した遺言書を書くと、あなたが亡くなった後に「遺留分侵害額請求」(お金で返してくださいという請求)が起きて、かえってトラブルが大きくなることがあります。

対策:遺言書を作る前に、各相続人の遺留分を計算しておくことが大切です。
遺留分に相当する金額を生命保険で準備しておくのも有効な方法です。

遺言書をきちんと機能させる3つのポイント
① 形式を正しく
公正証書遺言を選ぶか、自筆証書の場合は専門家に形式を確認してもらう。法務局の保管制度を使えば検認も不要になります。
② 遺留分に配慮
各相続人の遺留分を計算した上で分け方を設計する。
遺留分に相当する金額を生命保険で準備しておくのも有効です。
③ 付言事項で気持ちを添える
なぜこの分け方にしたのか、感謝の言葉とともに「理由」を書いておく。批判的・あいまいな表現は避けましょう。

遺言書は「書けば安心」ではなく、「正しく書いて、定期的に見直すこと」ではじめて家族を守る力を持ちます

「今の遺言書で大丈夫かな?」「これから書こうと思っているけど、何に気をつければいい?」——そんな段階からでも、お気軽にご相談ください。

当事務所のサポート内容

遺言書を見直したい、これから作りたいというご相談が増えています。
実際にこんなタイミングでご相談いただいています。

自分で書いた遺言書が法的に有効か不安
数年前に作った遺言書を見直したい
遺留分を考慮した遺言書の書き方を相談したい
公正証書遺言を作りたいが、何を準備すればいいかわからない

遺言書の作成サポートから、公証役場との調整まで対応しています。
必要に応じて司法書士・税理士もご紹介します。

🏛 行政書士(当事務所)
遺言書の作成サポート
公証役場との調整
相続関係説明図の作成
⚖ 司法書士(ご紹介)
相続登記(所有権移転)
(2024年4月より義務化)
📊 税理士(ご紹介)
相続税の申告・納税
準確定申告

三重県鈴鹿市の行政書士事務所

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まとめ
形式
4つの要件を1つでも欠くと無効
公正証書遺言か法務局の保管制度で安心を
遺留分
配偶者・子・両親には最低限の取り分がある
無視するとかえってトラブルに。兄弟姉妹には遺留分なし
見直し
3〜5年に一度は確認。財産や家族に変化があったら必ず
「作ったら終わり」ではなく「最新の状態に保つこと」が大切
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。遺言書の作成は専門家(行政書士・司法書士等)にご相談いただくことを推奨します。

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