はじめに

「お子さんが海外赴任している」「ご兄弟が国際結婚で海外で暮らしている」——そんなご家庭、今では珍しくなくなりましたよね。

でも、いざ相続が始まってみると、海外にいるご家族は日本の印鑑証明が使えないため、書類のやり取りで思った以上に時間と手間がかかってしまうことがあります。

手続きが数か月にわたって進まないケースもあります。

この記事では、海外に相続人がいる場合に気をつけたい3つのポイントと、遺言で困りごとを大きく減らす方法をお話しします。

なお、現地の法律・税務・送金のルールは国際業務に詳しい弁護士・税理士の領域になります。

当事務所では、日本国内での遺言書作成・戸籍収集・遺産分割協議書作成をサポートしています。

📋 この記事でわかること
海外相続で気をつけたい3つのポイント
遺言で手続きが大きく変わる理由
兄弟姉妹が相続人の場合に書類のやり取りを大きく減らす方法
不動産の整理方法と遺言の組み立て方
専門家との連携の整理(行政書士・弁護士・税理士)
よくあるご質問(6問)

海外相続で気をつけたい3つのポイント

海外に相続人がいると、ご家族が「あれ、こんなはずじゃなかった」と立ち止まってしまう場面が、大きく3つあります。順番に見ていきましょう。

1
印鑑証明が使えない!「サイン証明」を取りに行かないといけない
海外には日本のような印鑑証明の制度がありません。代わりに、現地の日本大使館や領事館で「サイン証明」(自分のサインが本物であることを証明する書類)を取ってもらいます。
・申請する場所:現地の日本大使館・領事館
・取得方法:ご本人が直接出向く必要があります
・費用:1件あたり1,700円程度
・予約が必要なところも多く、地域によっては数週間待ちになることも
・「アポスティーユ」という似た名前の認証制度がありますが、相続で必要なのは「サイン証明」の方です
2
書類のやり取りに時間がかかる。書き直しで1か月ロスも
遺産分割協議書などの大事な書類は、国際郵便でやり取りすることになります。もし書類に1か所でも記入漏れや不備があると送り直しになり、その都度1か月以上待つことに。郵便物が紛失するリスクもありますし、時差のせいでメールの返事や日程調整だけでも何日もかかってしまうことも珍しくありません。
3
在留証明・海外送金・現地の税金も、それぞれルールがある
住民票の代わりに「在留証明」という書類も必要になります。これも日本大使館や領事館で取得してもらいます。
さらに、相続したお金を海外に送金するときには、日本の法律(外為法)でルールが決まっていたり、住んでいる国によっては相続財産を現地で申告する義務(米国のFBARなど)が発生することもあるんです。
⚠ 現地の法律・税務・送金のルールが絡む話は、国際業務に詳しい弁護士・税理士に相談するのが安心です

遺言で、海外相続の手続きが大きく変わります

ここまで3つの困りごとをお伝えしてきましたが、実は遺言書を一通用意しておくだけで、これらの負担を大きく減らせる場合があります。

📝 遺言書があると、手続きはこう変わります
不動産遺言執行者(遺言の内容を実行する人)が登記の申請を進められます。海外にいる相続人からサイン証明や在留証明をもらう手間が、大きく減らせます。
預 金遺言で遺言執行者を指定しておけば、執行者が単独で銀行に出向き、解約や払い戻しの手続きを進められます。海外にいる相続人から書類を集める必要がなくなります。
期 間国際郵便でのやり取りが大幅に減るので、手続きの期間を短縮できます。

🌏 海外在住の兄弟姉妹が相続人の場合、書類のやり取りを大幅に減らせます

兄弟姉妹や甥っ子・姪っ子には、法律で「最低限もらえる権利」(遺留分)がありません。なので、遺言で配偶者やお子さんに全財産を残す内容にしておけば、海外にいる兄弟姉妹に書類のやり取りをお願いする必要がほとんどなくなり、手続きをスムーズに進められます。

💡 ご注意:海外にいるのがお子さんや配偶者の場合は、遺留分があるため兄弟姉妹のようにはいきません。それでも、遺言があれば書類のやり取りはぐっと減らせます。

遺言の内容も、海外在住者を意識して

ここまでは「海外にいる相続人の手間を減らす方法」をお伝えしてきました。でも、もう一つ大事な視点があります。それは、そのご家族が海外に住み続ける場合、相続した日本の財産をどうするかです。

⚠ 日本の不動産は、海外在住者にとって管理が大変
海外にお住まいの方が日本の不動産を相続しても、結局は空き家になってしまうケースが多くなります。固定資産税の支払い、建物の管理、近隣との連絡など、海外からでは手が回らないことばかり。固定資産税だけでも年々かかり続け、ご家族の負担が長く続いてしまいます。

🏠 不動産は日本在住の相続人に渡す方法

配偶者やお子さんが今後も住み続ける場合など、不動産を残しておきたい事情があるケースもあります。その場合は、不動産は日本にお住まいのご家族に相続させ、海外にいるご家族には預金や有価証券などで配分するのが分かりやすい方法です。

「不動産は長男に、預金は次男(海外在住)に」というような分け方を遺言に書いておけば、海外にいるご家族は送金しやすい現金で受け取れます。

この方法のメリット
・不動産を相続した方が、そのまま住み続けたり管理できる
・海外にいるご家族は現金で受け取れるので、海外送金もシンプル
・売却を待つ必要がなく、相続税の申告・納税がスムーズ
・空き家問題が発生しない

※相続人ごとの取り分に偏りが出る場合は、不動産を相続する方から海外在住のご家族へ「代償金(現金)」を支払う「代償分割」という方法もあります。

🏡 生前に不動産を整理しておく方法

相続後に不動産をどうするかを考えるよりも、生前のうちに不動産を整理しておく方が、ご家族にとっては負担が軽くなります。財産が現金中心になっていれば、海外にいるご家族にも分けやすく、相続税の納税資金にも困りません。

生前の整理には、こんな方法があります。

🏠 リースバック
ご自宅を不動産会社に売却し、その後は賃貸として住み続ける仕組み。住みながら現金化できます。
💰 リバースモーゲージ
ご自宅を担保に老後の資金を借り入れ、亡くなった後に自宅を売却して返済する仕組み。住みながら現金を得られます。
🏡 通常の売却
施設入居や、お子さんの家への同居を機に、思い切って売却。完全に整理できます。
生前整理のメリット
・財産が現金中心になり、相続時の分割が簡単
・海外在住のご家族にも、送金しやすい現金で分けられる
・空き家・固定資産税の問題が発生しない
・相続税の納税資金にも困らない

※リースバック・リバースモーゲージ・売却は、不動産会社・金融機関の領域です。当事務所では、ご相談時にお客様の状況に合う選択肢をご一緒に整理し、必要な専門家をご紹介します。

📝 預金や有価証券は「誰に・いくら」を明確に

預金や株式などの金融資産は、遺言で「○○銀行の預金は△△に、株式は××に」と具体的に指定しておくと、相続後の手続きがぐっとスムーズになります。

分配の割合を金額や比率で明示しておけば、海外にいるご家族との認識のズレも防げます。

海外在住のご家族を見据えた遺言書の作成をご検討の方へ

当事務所では、文案の検討から必要書類の収集、公証役場との調整、当日の証人の立ち会いまでまるごとサポートします。遺言執行者を誰にするかも含めて、ご家族の状況に合わせてご提案します。

遺言書作成サポートの詳細を見る →

遺言のご相談に来られる方は、皆さま、ご家族のことを心から大切に想っていらっしゃいます。

「私が逝った後、家族が揉めないように」

「これまで支えてくれた家族の生活を守りたい」

「子どもたちが、これからも仲良く過ごしてほしい」

——そんな想いを抱えて、お話しに来てくださいます。

遺言書というのは、財産を分けるための書類というよりも、ご家族への「最後のメッセージ」だと、私は思っています。

「あなたのこと、ちゃんと想っていたよ」

「みんなで助け合って生きていってね」

——そういった気持ちを、形にして残せる手段です。

特に海外にいらっしゃるご家族がいる場合、普段の会話ではなかなか伝えきれない想いを、遺言に込められる方も多くいらっしゃいます。

離れて暮らしていても、想いは確かに届きます。

私にできるのは、国内の遺言書作成や書類整備までです。海外の税務や送金については、信頼できる弁護士・税理士をご紹介します。

「何から始めれば…」と迷っていらっしゃるなら、まずはお話を聞かせてください。

ご家族のかたちはそれぞれですから、その方に合った形を、ご一緒に考えさせてください。

行政書士髙橋 大輔

よくあるご質問
Q海外に住む子供(兄弟)と直接話さなくても、遺言は作れますか?

A

はい、作れます。遺言は遺言者ご本人の意思を残すものですので、海外にいるご家族の同意や立ち会いは必要ありません。「家族に余計な心配をかけたくない」というお気持ちで、ご本人だけで進められる方も多くいらっしゃいます。
Q海外在住の家族の戸籍は、どうやって取るんですか?

A

海外にお住まいでも、日本国籍があれば日本の戸籍は本籍地にそのまま残っています(海外転出すると住民票は除票になりますが、戸籍は別の制度です)。本籍地の市町村役場に郵送請求すれば、遺言者ご本人や行政書士が代理で取得できます。海外にいるご家族に何かを頼む必要はありません。当事務所では、戸籍収集もまとめてお引き受けしています。
Q公正証書遺言と自筆証書遺言、それぞれのメリット・デメリットは?

A

どちらにもメリット・デメリットがあり、ご状況に応じて選ばれます。

📄 自筆証書遺言
費用を抑えたい方向け。法務局の自筆証書遺言保管制度(保管料3,900円)を利用すれば、検認が不要になり、紛失・改ざんのリスクもありません。ただし、保管制度は形式の確認はしますが、内容の有効性までは判断しません。

📜 公正証書遺言
公証人が内容の整合性まで確認するため、形式不備で無効になるリスクがほぼありません。病気などで字が書けない方でも作成可能です。費用は公証人手数料が必要(財産額により数万円〜)。

海外にご家族がいる場合、相続発生後にトラブルが起きると国際郵便でのやり取りが大変になります。「内容の安心感」を重視するなら公正証書遺言、「費用と手軽さ」を重視するなら自筆証書遺言+保管制度、というのが一つの目安です。当事務所ではどちらにも対応しています。

Q遺言の内容は、事前に家族に伝えておくべきですか?

A

必ずしも必要ではありません。ご家族の状況によって、事前に伝えた方が良いケース・伝えない方が良いケースがあります。「遺言執行者を引き受けてもらう人」にだけは伝えておく、というご家庭が多い印象です。当事務所では、ご家族関係も伺った上で、伝え方のご相談にも応じています。
Q遺言執行者は誰に頼めばいいですか?

A

国内にお住まいの信頼できるご家族(配偶者・お子さんなど)でも構いません。ただ、海外にご家族がいるケースでは、行政書士などの専門家を遺言執行者に指定される方も多いです。専門家が執行者になれば、ご家族にかかる事務的な負担を大きく減らせます。当事務所でも執行者をお引き受けしています。
Q相談から遺言完成まで、どれくらいの期間がかかりますか?

A

公正証書遺言の場合、ご相談から完成までおおよそ1〜2か月が目安です。財産の整理、文案の検討、戸籍の収集、公証役場との調整、当日の証人立会いまで、当事務所が一括でサポートします。お急ぎの場合はご相談ください。

当事務所のサポート

海外にご家族がいる相続のご相談では、こんなお声をよくお聞きします。

海外にいる兄弟と書類のやり取りができるか不安
海外にいる家族にも、できるだけ負担をかけずに相続したい
海外に財産があったり送金が必要だけど、どこに相談すればいいかわからない

当事務所では、三重県内・近隣県にお住まいの方を中心に、遺言書の作成(津・四日市・伊勢・松阪・桑名等の公証役場と連携)、戸籍収集、遺産分割協議書の作成、遺言の実行までをまとめてお引き受けします。海外の財産や送金、現地の税金が関わってくる場合は、信頼できる弁護士・税理士をご紹介します。「何から始めればいいかわからない」という段階で大丈夫です。まずはお話を伺うところから始めさせてください。初回相談は無料です。

🏛 行政書士(当事務所)
遺言書の起案
戸籍収集・相続関係説明図
遺産分割協議書の作成
遺言執行者就任
⚖ 弁護士(ご紹介)
海外資産が絡む紛争
国際私法に関する助言
現地法律との調整
📊 税理士(ご紹介)
国際相続税の試算・申告
FBAR等の海外申告対応
送金時の税務確認

三重県鈴鹿市の行政書士事務所

海外在住のご家族がいる遺言・相続のご相談を承っております

対応エリア:三重県内・近隣県

初回相談無料・出張対応可

対応業務・費用・対応エリアを確認する →無料相談のお問い合わせはこちら →LINEで無料相談する →

お電話・メール・LINEにて受付中

まとめ
印鑑
不可
海外には印鑑証明制度がないため、代わりに在外公館でサイン証明を取得する必要がある(1件1,700円程度・予約制が多い)
遺言で
不要に
遺言執行者(遺言の内容を実行する人)が手続きを進められる。サイン証明や在留証明を集める手間を大きく減らせる
兄弟は
遺留分
なし
海外在住の兄弟姉妹が相続人なら、遺言で書類のやり取りをほぼゼロにできる。子・配偶者の場合は遺留分への配慮が必要
専門家
連携
遺言・戸籍・協議書は行政書士、海外資産の紛争は弁護士、国際相続税は税理士。当事務所がワンストップでご紹介
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。個別の事情により手続きや結果が異なる場合がありますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。

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