はじめに
はじめに
再婚されているご家庭の相続には、一般的なケースとは異なる複雑さがあります。
前の婚姻で生まれたお子さんも、現在の配偶者との間のお子さんも、法律上は同じ立場の相続人になるからです。
「現在の家族にきちんと残したい」「亡くなった後に揉めてほしくない」——そう思っているなら、今のうちに遺言書で整理しておくことが一番の対策になります。
この記事では、再婚家庭の相続のしくみと、遺言書でできること・できないことを正直にお伝えします。
📋 この記事でわかること
・再婚家庭の相続人の構成
・遺言書で現在の家族への配分を手厚くする方法
・前の婚姻のお子さんへの最低限の取り分(渡せる下限)
・生命保険・養子縁組という選択肢
再婚家庭の相続人はどうなるか
STEP 1再婚家庭の相続人はどうなるか
まず知っておくべき大前提があります。前の婚姻で生まれたお子さんも、現在の婚姻で生まれたお子さんも、法律上は同じ立場の相続人です。離婚しても親子関係は続くため、前の婚姻のお子さんの相続権はなくなりません。
⚠ 遺言書がなければ全員で話し合いが必要になる
遺言書がない場合、現在の配偶者・現在の婚姻のお子さん・前の婚姻のお子さん、全員で財産の分け方を話し合わなければなりません。面識がほとんどない方同士の話し合いになることも珍しくありません。
📋 計算例:現在の配偶者+前の婚姻のお子さん1人の場合
現在の婚姻のお子さんがいる場合は、お子さん全員で2分の1を均等に分け合います。
遺言書で現在の家族への配分を手厚くする
STEP 2遺言書で現在の家族への配分を手厚くする
遺言書があれば、誰に何を渡すかを自分で決めることができます。現在の配偶者や現在の婚姻のお子さんへの配分を手厚くすることが可能です。
遺言書でできること
・現在の配偶者に自宅不動産を渡す
・現在の婚姻のお子さんに預貯金を多く渡す
・前の婚姻のお子さんへの配分を最低限に抑える
注意が必要なこと
・前の婚姻のお子さんへの配分をゼロにして遺言書を書くことはできます。ただしその場合、前の婚姻のお子さんから「最低限受け取る権利(遺留分)」の請求を受ける可能性があります
・この「最低限受け取る権利(遺留分)」を遺言書で奪うことはできません
前の婚姻のお子さんが持つ最低限の取り分
STEP 3前の婚姻のお子さんが持つ最低限の取り分
前の婚姻のお子さんには「最低限受け取る権利(遺留分)」があります。遺言書で配分を減らすことはできますが、この権利を下回る内容だと、後から請求を受けることがあります。
📋 計算例:遺産3,000万円・現在の配偶者+前の婚姻のお子さん1人
遺言書なしの場合の前の婚姻のお子さんの取り分:1,500万円(2分の1)
最低限受け取る権利:750万円(1,500万円の2分の1)
→ 遺言書で750万円を下回る配分にすると、後から請求を受けるリスクがあります
💡 生命保険で対応する方法
前の婚姻のお子さんを受取人にした生命保険を準備しておくことで、後からの請求リスクを大幅に減らせます。保険金は相続の話し合いの対象外なので、確実に渡せます。
2026.04.13
はじめに
はじめに
遺言を作成しても「全財産を自由に分配できる」わけではありません。一定の相続人には遺留分という最低限の取り分が法律で保障されており、これを無視した遺言は後からトラブルになる可能性があります。
この記事...
現在の配偶者の連れ子と養子縁組する選択肢
STEP 4現在の配偶者の連れ子と養子縁組する選択肢
現在の配偶者に連れ子がいる場合、養子縁組をすることで法律上の相続人にすることができます。
養子縁組のメリット
・連れ子が法律上の相続人になる
・遺言書と組み合わせることで、現在の家族への配分を手厚くしやすくなる
注意点
・相続人が増えるため財産の分け方が複雑になることがある
・税理士・行政書士に相談した上で慎重に検討する
再婚家庭の遺言書設計のポイント
STEP 5再婚家庭の遺言書設計のポイント
再婚家庭の遺言書は、一般的なケースより考慮すべきことが多いです。以下のポイントを押さえた上で作成することをおすすめします。
1
自宅は現在の配偶者へ
不動産が前の婚姻のお子さんとの共有になると、現在の配偶者が自由に住み続けられなくなることがあります。
2
前の婚姻のお子さんへは現金で対応する
不動産ではなく現金・預貯金を配分することで、現在の家族の生活を守りながら最低限の権利に対応できます。生命保険を活用するのが有効です。
3
遺言を実行してくれる人を指定する
複雑な家族関係での相続手続きをスムーズに進めるために、信頼できる専門家を遺言を実行する人として指定しておくことをおすすめします。
4
公正証書遺言で作成する
再婚家庭の遺言書は特に、形式不備や意思能力を争われるリスクを避けるため、公証人が作成する公正証書遺言をおすすめします。
2026.04.11
はじめに
はじめに
公正証書遺言は、公証人(法務大臣に任命された法律の専門職)が作成するため形式不備による無効リスクがほぼなく、実務でも最も利用されている遺言の形式です。
この記事では、公正証書遺言が選...
当事務所でできること
当事務所でできること
こんな状況でお困りではありませんか?
・現在の家族にきちんと残したいが、どんな遺言書を書けばいいかわからない
・前の婚姻のお子さんへの最低限の権利(遺留分)にどう対応すればいいか知りたい
・亡くなった後に家族が揉める事態だけは避けたい
再婚家庭の相続は状況によって対策が変わります。まず現状を整理するところから一緒に進めます。「まだ何も決まっていない」という段階でも構いません。
まとめ
まとめ
大前提
前の婚姻のお子さんも現在の婚姻のお子さんも同じ立場の相続人。遺言書がなければ全員で話し合いが必要
遺言書
現在の家族への配分を手厚くできる。ただし前の婚姻のお子さんの最低限の権利は残る
保険
活用
前の婚姻のお子さんへは生命保険で現金対応することで、不動産を現在の家族に守りやすくなる
公正
証書
再婚家庭の遺言書は特に公正証書遺言をすすめる。形式不備・意思能力を争われるリスクを防げる
「亡くなった後に家族が揉めてほしくない」——その気持ちを形にするのが遺言書です。気になったときが、動き出すタイミングです。
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。個別の事情により手続きや結果が異なる場合がありますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。