はじめに

はじめに

長年連れ添ったパートナーであっても、法律上の婚姻届を出していない「内縁関係」の場合、相手方に法律上の相続権は一切ありません。対策をしないままでいると、大切なパートナーが住み慣れた家を追われ、生活資金も手にできない状況になるリスクがあります。

この記事では、内縁パートナーを守る3つの対策(遺贈・生命保険・死因贈与)・遺留分問題・特別縁故者制度の限界を詳しく解説します。

対策をしない場合に直面する3つの困窮

STEP 1対策をしない場合に直面する3つの困窮
① 住まいを失うリスク
自宅が亡くなった方の名義である場合、所有権は法律上の相続人(故人の兄弟姉妹・甥姪等)に移る。立ち退きを要求された場合、内縁のパートナーは居住権を主張することが非常に困難
② 生活資金が凍結される
銀行口座は死亡後に凍結される。相続権がない内縁のパートナーは預金の解約も葬儀費用の引き出しも原則として認められない
③ 疎遠だった親族とのトラブル
疎遠だった法定相続人が突然現れ、家財道具を含む全財産の引き渡しを要求されるケースが実務では散見される

パートナーを守る3つの対策

STEP 2パートナーを守る3つの対策
1
遺言による「遺贈」(民法第964条)
内縁パートナーは法定相続人でないため「遺贈する」という表現を使う必要がある(「相続させる」は相続人のみに使用可)。公正証書遺言にすることで手続きをスムーズにし有効性への反論を封じられる
※不動産の登録免許税:遺贈は固定資産税評価額の2%(相続人への「相続させる」は0.4%)。登記は遺言執行者との共同申請が必要
2
生命保険金の受取人指定
生命保険金は受取人固有の財産なので遺産分割の対象外。相続発生後すぐに現金として渡せる。保険会社によっては内縁関係でも一定条件(同居期間・生計維持関係の証明等)を満たせば受取人に指定できる商品がある
3
死因贈与契約(民法第554条)
「自分が死んだらこの不動産を贈与する」という双方合意の契約。遺言は一方的に撤回できるが死因贈与は原則として一方的な撤回が難しい。不動産には生前に仮登記(始期付所有権移転仮登記)を入れておくと第三者への対抗力が確保できる(司法書士業務)。公正証書での作成を推奨

遺留分への対応

STEP 3遺留分への対応
⚠ 故人に子や親がいる場合は遺留分請求のリスク

「全財産を内縁のパートナーに遺贈する」という遺言を書いても、故人に子や父母がいる場合、彼らには遺留分(最低限の取り分・民法第1042条)があります。

対策:遺留分を侵害しない範囲で配分を設計するか、遺留分支払いのための現金を生命保険等で準備しておく。

「特別縁故者」制度に頼ってはいけない理由

STEP 4「特別縁故者」制度に頼ってはいけない理由

「特別縁故者制度」とは、相続人が誰もいない場合に限り、生前に生計を共にしていた人や療養看護に尽くした人が、家庭裁判所に申し立てることで財産の分与を受けられる制度です(民法第958条の2)。「内縁のパートナーでも対策なしにもらえる場合がある」と思っている方もいますが、実務上はほぼ当てにできません。

⚠ 特別縁故者制度(民法第958条の2)はハードルが極めて高い
相続人が1人でもいれば適用されない(相続人不存在が確定することが前提)
家庭裁判所に申し立てても必ずもらえるわけではない(裁判所の裁量)
「相続人不存在の確定」まで公告等の手続きで1年以上かかる

→ この制度を当てにして事前対策をしないのは非常に危険

まとめ

まとめ
最重要
内縁パートナーに相続権はない。遺言がなければ1円も渡せない
「遺贈する」という遺言書が命綱。公正証書遺言を強く推奨
3つの
対策
遺贈(遺言)・生命保険・死因贈与契約の組み合わせが基本
遺贈の登録免許税は2%(相続の0.4%より高い)。コストも事前に把握を
縁故者
制度
相続人が1人でもいれば特別縁故者制度は使えない
確定まで1年以上・裁判所の裁量。当てにして対策しないのは危険

⚠ 元気なうちに必ず対策を

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。個別の事情により手続きや結果が異なる場合がありますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。

≪ 関連記事 ≫