はじめに

親の介護を担うお子さんの労力は、ご家族にしか分からないものがあります。

一方で、他の兄弟姉妹はそれぞれの生活があり、距離を置かざるを得ないケースも少なくありません。

そして相続が発生したとき——介護を担ってきた子と他の兄弟姉妹の間で、気持ちのすれ違いが生まれることがあります。

「これだけ尽くしてきたのに」
「自分も大変だった」

と、お互いの主張が交差して、家族関係が複雑になってしまうのです。

この記事では、介護の貢献を法的に形にするための遺言設計を、寄与分制度の限界・具体的な遺言例・付言事項の活用まで整理してお伝えします。

STEP 1法定相続は「介護の貢献」を自動的には評価しない

「介護をたくさんしてきたのだから、その分は法律で評価されるはず」——そう思われる方は少なくありません。でも実際には、「子が親の世話をするのは当然」という考え方が根強く、通常の介護程度では特別な貢献として認められにくいのが現実です。

📋 寄与分(特別な貢献に対する取り分の上乗せ制度)はどんな場合に認められる?
◎ 認められやすい例
ヘルパーを雇う代わりに無償で介護し、介護費用を大幅に節約した場合
× 認められにくい例
通院の付き添い身の回りの世話程度の介助

「無償」であることが要件です(介護の対価を受け取っていた場合は対象外)。立証には介護記録・ヘルパー費用の相場・医療記録などの証拠が必要で、多大な労力がかかります。

📋 2019年新設の「特別の寄与」(相続人以外が金銭請求できる制度)も使いやすくない

長男のお嫁さんや孫などが無償で介護した場合に金銭を請求できる制度ですが、時効が非常に短く設定されています。

⏱ 相続を知ってから
6か月
⏱ 相続開始から
1年

※請求には相続人との協議が必要で、話し合いがこじれる要因にもなりかねません。

→ だからこそ、親御さんが元気なうちに遺言で備えることが大切です
STEP 2介護の貢献を形にする3つの対策

介護の貢献を確かな形にするには、親御さんが元気なうちに準備することが大切です。代表的な3つの方法を見ていきましょう。

1
遺言書で具体的な配分を指定する

遺産分割協議が不要になり、介護を担ったお子さんが他の兄弟姉妹に「お願い」や「交渉」をする立場に置かれずに済みます。

2
付言事項で「感謝と理由」を伝える

「Aは私の最期まで寄り添い、支えてくれました。その感謝を形にしたものです。兄弟仲良く、納得してもらえたら嬉しく思います」——こうした親御さんの生の声が、他の相続人の納得感を大きく高めてくれます。

3
生命保険の受取人指定を活用する

介護を担ったお子さんを生命保険の受取人に指定する方法。保険金は遺産分割の対象外(受取人固有の財産)なので、他の兄弟姉妹に気兼ねなく即座に現金を受け取れます。

⚠ 生命保険の注意点:保険金額が遺産全体に対して著しく高額な場合は、特別受益(生前贈与などで受けた特別な利益)として持ち戻しの対象になる可能性があります(最高裁判例)。バランスのある設計が大切です。

STEP 3具体的な遺言設計の例

「具体的にどう書けばいいの?」というご質問をよくいただきます。ここでは、遺留分(法定相続人に保障される最低限の取り分)を考慮した実例を見ていきましょう。

📋 ケース:遺産4,000万円・相続人はお子さん2人
👤 子A(介護を担当)
親と同居して長年介護を担ってきた
👤 子B
遠方で生活、たまに帰省する程度
法定相続分:各2,000万円ずつ
各人の遺留分:各1,000万円(法定相続分の1/2)
遺言設計の例
📜 遺言の内容
・自宅(評価額2,500万円)と預貯金500万円 → 子Aに相続(合計3,000万円)
・預貯金1,000万円 → 子Bに相続(遺留分ぴったり)
✅ ポイント:子Bの取り分は遺留分(1,000万円)ぴったりなので、遺留分侵害額請求(最低限の取り分を取り戻す請求)はできません。介護を担った子Aの貢献を、確実に評価できる設計です。

付言事項に「Aの献身的な介護に感謝し、このような配分とした」と一言添えることで、Bの納得感をさらに高められます。

親御さんの介護を担ってこられたお子さんには、本当に頭が下がる思いです。

日々の通院の付き添い、食事の用意、夜間の見守り——目に見えない苦労の積み重ねは、ご本人にしか分からないものがあります。

「私の最期まで支えてくれた、この子に感謝の気持ちを残したい」

——多くの親御さんが、そんなお気持ちをお持ちです。

でも、その気持ちを口にしないまま月日が経ち、いざ相続というときに兄弟姉妹の間にすれ違いが生まれてしまう——そんなご相談を、お聞きすることもしばしば。

親御さんの「ありがとう」を、確かな形にしておくこと。それは、介護を担ったお子さんを守ることでもあり、他のご兄弟が後ろめたさを感じずに済むことでもあると思います。

「うちの場合はどう考えればいいのか」——ご家族の状況をお伺いしながら、一緒に整理させていただきます。介護のご経験をお話しいただくだけでも構いません。

まずはお気軽にお声がけください。

行政書士髙橋 大輔

当事務所のサポート内容

介護を担うお子さんの貢献を、遺言書という形にすることをお手伝いします。

🏛 行政書士(当事務所)
遺言書の起案
付言事項の記載サポート
財産目録の作成
公正証書遺言サポート
⚖ 司法書士(ご紹介)
遺言執行後の不動産名義変更
家族信託の設計
📊 税理士(ご紹介)
相続税の試算
生命保険を活用した節税対策

三重県鈴鹿市の行政書士事務所

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初回相談無料・三重県全域・出張対応可

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お電話・メール・LINEにて受付中

まとめ
法律は
評価しない
寄与分の認定は「通常の扶助義務を超える特別の貢献」のみ
通院の付き添い程度では認められにくい。立証にも多大な労力
遺言で
評価
遺留分を考慮した上乗せ+付言事項で納得感を作る
遺産4,000万円・子2人の例:子A 3,000万円・子B 1,000万円(遺留分)
生命保険
活用
介護を担った子を受取人にする
保険金は遺産分割の対象外。ただし過度に高額だと特別受益の可能性
今が
最善
親御さんが元気なうちに遺言書を準備する
介護中の感謝を法的な形にすることが、家族みんなの納得につながる
【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。個別の事情により手続きや結果が異なる場合がありますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。

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