はじめに
相続では、不動産の「評価額」が複数の場面で登場します。しかし、評価の目的によって使うべき価格が異なり、誤って使い分けるとトラブルや税負担の過大・過小につながります。
この記事では、4種類の評価額の違い・相続税評価の仕組み・遺産分割でのトラブル・不動産鑑定士への依頼が必要なケースまで詳しく解説します。
不動産には4つの価格がある(一物四価)
同じ土地でも、目的によって使うべき価格が異なります。まず4種類の関係を理解することが重要です。
相続税評価の仕組み(路線価方式)
評価額 = 路線価(円/㎡)× 地積(㎡)× 補正率
建物の相続税評価はほぼ固定資産税評価額と同額です。建築費用や市場価値とは異なる場合があります。
路線価と時価の乖離が招くトラブル
相続税の申告には路線価を使いますが、遺産分割協議で各相続人の取り分を決める際には実勢価格(時価)を基準にするのが公平です。
路線価は実勢価格の約80%が目安ですが、地域・立地・物件の状態によっては乖離が大きくなることがあります。
例:不動産をAが取得し、預金をBが取得した場合に「路線価で同額」でも「実勢価格では不動産の方が高い」ということが起きやすく、後のトラブルにつながります。
遺産分割協議では、不動産については必ず実勢価格(不動産会社への査定または不動産鑑定士の鑑定評価)を確認してから分割方法を決めることを強くおすすめします。
不動産鑑定士への依頼が必要なケース
不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価に関する法律に基づく国家資格者です。不動産会社の査定と異なり、鑑定評価書は法的に証拠力のある公的な評価書類として扱われます。
鑑定評価の費用は物件・目的によって異なりますが、20〜50万円程度が目安です。費用はかかりますが、相続税の過大申告を防いだり、相続人間のトラブルを未然に防いだりする効果があります。
路線価での評価に違和感がある場合や、相続人間で合意が難しい場合は、税理士・司法書士・行政書士にご相談のうえ、不動産鑑定士への依頼を検討することをおすすめします。
当事務所でできること・専門家の役割分担
相続手続き全体の整理・遺産分割協議書の作成を行政書士がサポートします。評価額に関して専門的な判断が必要な場合は、税理士・不動産鑑定士・司法書士への連携もご相談ください。
相続税申告は税理士、登記は司法書士、鑑定評価は不動産鑑定士の業務です。
まとめ
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を提供するものではありません。不動産の評価・相続税申告は専門家(税理士・不動産鑑定士等)にご相談ください。個別の事情により評価方法や税額が異なる場合があります。
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