はじめに
「うちは家族仲が良いから、遺言書なんていらない」
「財産も多くないし、そんな大げさなものは…」
「子どもたちが話し合って決めてくれるはず」
そう思っている方は多いと思います。
ただ、実際の相続の現場では「うちは大丈夫」と思っていたご家庭ほど、思わぬ場面で立ち止まってしまうことがあります。
遺言書は、もしものときに「家族が話し合いで悩む場面」を「事務的な手続き」に変えてくれるものです。
この記事では、遺言書がないと実際に起きやすい6つの場面と、その回避策を解説します。
「うちにも関係あるかも」と感じていただけたら、ぜひ最後まで読んでみてください。
遺言書が特に重要な10のケース
まず最初にお伝えしたいのは、ご家族の状況によっては遺言書がないと手続きが非常に複雑になるケースがあるということです。
当てはまるご家庭は、遺言書を準備しておくと残された家族の負担がぐっと軽くなります。
👫 子どものいないご夫婦
配偶者だけでなく、亡くなった方の親や兄弟姉妹も相続人になります。
配偶者にすべて残したい場合は、遺言書が必須です。
2026.04.12
はじめに
「お子さんがいないなら、配偶者がすべて相続できるんじゃないの?」
そう思っていた方が、相談に来られることがあります。実際には、お子さんがいない場合でも、配偶者だけに全財産が渡るとは限りません。ご...
💕 再婚されたご家庭
前のご結婚で子どもがいる場合、その子も相続人になります。
現在のご家族と話し合いが必要になることもあります。
2026.04.16
はじめに
「前の結婚で生まれた子どもとは今もそれなりに連絡を取っている。
でも、自分が亡くなったときに、今の妻(夫)と前妻(前夫)の子の間で、お金のことで揉めてしまわないか心配」
再婚されている方からよくいただくご相談です...
👥 相続人が多いご家庭
兄弟姉妹が多い・甥姪まで相続権が広がるなど、相続人が多いと話し合いが大変です。
会ったことのない親族と書類のやり取りが必要になることも。
👤 配偶者がいないご家庭
配偶者がすでに亡くなっている場合、子どもだけが相続人になります。
子が複数いる場合は分け方をはっきりさせておくと安心です。
2026.05.29
はじめに
「うちの家族は仲がいいから、相続で揉めることはないだろう」
そう思っている方も少なくありません。
でも実際には、仲の良かった家族の間でこそトラブルが起きています。
「財産が少ないから関係...
💞 内縁関係(事実婚)の方
長年連れ添っていても、籍を入れていないと法律上は相続人になりません。
財産を残したい場合は遺言書が必須です。
2026.04.16
はじめに
「籍は入れていないけれど、長年一緒に暮らしているパートナーに財産を残したい」
「離婚歴があって再婚はしていないが、今のパートナーと穏やかに暮らしている」
こうしたご相談をいただくことがあります。
お二人の関係が...
🧍 おひとりさま
独身・お子さまなし・ご両親も他界の場合、兄弟姉妹や甥姪が相続人になります。
特定の人やお世話になった方に渡したい場合は遺言書を。
🤝 介護してくれた家族がいる
日々の介護をしてくれた家族に多めに残したい場合は、遺言書で意思を残せます。
他の家族の納得感にもつながります。遺言を残す際の付言が大切です。
2026.04.14
はじめに
「介護してくれた長女に多めに残したい。でも他の子から不満が出ないか心配」
——そんな気持ちで遺言書を考えていませんか?
遺言書で財産の分け方を決めるだけでは、「なぜそう分けたのか」が家族には伝わりません。
...
🏢 事業を継がせたい
会社の株式や事業用資産が分散すると、経営が止まってしまうことがあります。
後継者に集中して引き継ぐには生前贈与と、その他の家族の配慮のための遺言書が有効です。
2026.04.16
はじめに
「会社を息子に継がせたいけれど、株はどう渡せばいいんだろう」
「親の事業を引き継ぐ予定だが、何から準備すればいいかわからない」
「個人事業の店舗や工場を後継者に渡したいが、税金が心配」
事業を次の世代に引き継ぐ...
♿ 障がいのある家族がいる
将来の生活を見据えて、必要な分を確実に残しておきたい場合、遺言書で配分を決められます。
家族信託との組み合わせも検討できます。
🎁 特定の人に渡したい
孫・お世話になった方・支援している団体など、法律上は相続人にあたらない方に渡したい場合、遺言書がなければ実現できません。
1つでも当てはまる方は、遺言書の準備を強くおすすめします。
逆に当てはまらない方も、次に紹介する「遺言書がないと起きやすい場面」は他人事ではありません。一緒に見ていきましょう。
遺言書がある場合とない場合のちがい
次に、遺言書がある場合とない場合で、相続の手続きがどう変わるかを見てみましょう。
✅ 遺言書がある場合
・遺言執行者が手続きを進めてくれる
・相続人は内容を確認するだけ
・銀行や法務局も遺言書を見せれば手続きできる
→ 数か月程度でスムーズに完了
⚠ 遺言書がない場合
・戸籍を集めて相続人を確定する
・全員で話し合い、署名・実印が必要
・話がまとまらないと家庭裁判所へ
→ 1年以上かかることも
遺言書がないと起きやすい6つの場面
遺言書がないことで、実際の相続の現場でよく起きる場面を6つご紹介します。
「もしかしてうちにも当てはまる…?」という視点で見てみてください。
相続人全員の合意がないと、手続きを進められません。
1人でも反対する人がいたり、連絡が取れない方がいたり、認知症の相続人がいると、財産は1円も動かせなくなります。
遺言書がないと、不動産は相続人みんなの共有になります。
売りたい・リフォームしたいと思っても、共有者全員の同意が必要です。2024年4月から相続登記が義務化され、正当な理由なく3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象になることがあります。
亡くなった方の銀行口座は、銀行が死亡を知ると凍結されます。
遺産分割協議書がそろわないと払い戻しができず、葬儀費用や残された家族の生活費にも困ることがあります。
④
⏰
相続税の申告期限(10か月)に間に合わない
相続税の申告は、亡くなった日の翌日から10か月以内です。
話し合いがまとまらないと、配偶者の税額軽減などの有利な特例が使えなくなることがあります。場合によっては追加の税金がかかることも。
「自分の方が介護をしたのに」「あの子だけ生前に援助をたくさん受けていた」など、財産が絡むと話し合いがこじれてしまうことがあります。
仲の良かった兄弟姉妹でも、ちょっとした行き違いから疎遠になってしまうケースは少なくありません。
「妻に自宅を全部残したい」と思っていても、遺言書がないと子どもにも法律で決まった取り分(法定相続分)があります。
場合によっては、自宅を売却してお金で分けることになるケースもあります。
⚠「財産が少ないから揉めない」とは限らない
最高裁判所の司法統計によると、遺産分割の調停・審判で扱われた事件の約3割は遺産額1,000万円以下のケースだそうです。
むしろ財産が少ない方が「自宅を売って分ける」しか方法がなく、揉めやすい面もあります。財産の多い少ないに関係なく、遺言書は家族のためになるものです。
遺言書を作る一番の理由は、財産を分けることそのものではなく、残された家族が穏やかな気持ちで過ごせるようにしておくことだと、私は考えています。
「うちは大丈夫」と思っている今こそが、実は一番動きやすいタイミングです。
遺言書はいつでも書き直せるので、まずは一度作ってみる——それだけでもご家族の安心感は大きく変わります。
当事務所のサポート内容
こんな状況の方からご相談いただいています。
・うちには関係ないと思っていたが、記事を読んで心配になった
・不動産があるので、共有状態になるのを避けたい
・子どものいない夫婦・再婚家庭で、特に備えておきたい
・親に遺言書を書いてもらいたいが、切り出し方に悩んでいる
遺言書の内容のご相談から作成、公証役場での手続きまでトータルでサポートします。
ご本人と一緒のご相談、お子さま方のみのご相談、どちらも対応しています。
🏛 行政書士(当事務所)
遺言書の作成サポート
内容のご相談
公証役場での手続きサポート
⚖ 司法書士(ご紹介)
相続登記(所有権移転)
(2024年4月より義務化)
📊 税理士(ご紹介)
相続税の申告・納税
準確定申告
まとめ
注意
ポイント
遺言書がないと、全員合意の話し合いが手続きの一番の壁に
家庭裁判所での調停まで進むと、1年以上かかることも
登記
義務化
2024年4月から相続登記が義務化(3年以内に登記しないと過料の対象)
不動産が共有になると、売却や活用に全員の同意が必要
家族を
守る
遺言書は、残された家族が穏やかに過ごすための備え
「うちは大丈夫」と思える今が、一番動きやすいタイミングです
【免責事項】この記事は情報提供を目的としており、法律的なアドバイスではありません。状況によって手続きや結果が異なりますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。